第四百八話
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第四百八話 白いもの
美樹は家に帰った、するとだった。
母にだ、こう言われた。
「ちょっと待ってね」
「どうしたの?」
「ええ、お母さん髪の毛染めるから」
こう言うのだった。
「ちょっとだけね」
「待ってっていうの」
「用事があったらね」
「別にないわよ」
美樹は母に素直に答えた。
「今はね」
「そうなの」
「ええ、ただお母さん髪の毛黒いけれど何色にするの?」
「白髪があるから」
それでとだ、母は娘に話した。
「それでなの」
「白髪あるの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「白髪のあるところをね」
「染めるの?ない風に見えるけれど」
「ちょっとあったのよ、さっき見たらね」
その時にというのだ。
「それでなの」
「白髪気になるの?」
「なるわよ、お母さんまだ三十代なのに」
それでもというのだ。
「白髪があるなんて」
「気にしなくてもいいんじゃないの?」
美樹は今度はこう言った。
「白髪あっても」
「あんたも白髪出来ればわかるわよ」
これが母の返事だった。
「その時にね」
「そうなの」
「そうよ、髪の毛はなくなるか」
若しくはというのだ。
「白くなってね」
「わかるの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「お母さんはなの」
「白髪気になるの」
「実は前から染めてるの」
そうしているというのだ。
「全く、白髪は嫌ね」
「そうなのね」
「そう、だからちょっと待ってね」
染めるからというのだ、実際に母は白髪を黒くした。そうしてそのうえで気にしているものをなくしたのだった。
第四百八話 完
2021・10・4
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