第九幕その三
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「普通のヨットじゃないわよ」
「といいますと」
「どんなヨットですか?」
「オズの国だからって」
「ううん、ここはお伽の国ですから」
「不思議なことで一杯の国ですから」
「そう、とても不思議なヨットだとね」
こう言うのでした。
「言っておくわ」
「そうですか」
「それじゃあですね」
「僕達はその不思議なヨットに乗って」
「そうしてですね」
「谷を越えるんですね」
「そうなるわ」
コーヒーを飲みながら言いました。
「そう言っておくわね」
「わかりました」
「じゃあどんなヨットか」
「楽しみに見させてもらいます」
「そして乗らせてもらいます」
「そうさせてもらいます」
「ちなみに私は知ってるけれど」
ビリーナはコーンを食べつつ五人に言います。
「あえてね」
「ああ、内緒ね」
「今言ったら楽しみがなくなるから」
「だからだね」
「今は君も言わないんだね」
「そうするのね」
「そうよ」
その通りだというのです。
「どのみちあと少しでわかるし」
「それじゃあね」
「今どんなヨットか言わないで」
「そうしてね」
「そのヨットが来た時にわかって」
「そこで楽しめばいいのね」
「そうよ、それまで期待して」
どんなヨットかというのです。
「そしてよ」
「期待通りに素敵なヨットだから」
「そのヨットを見て」
「そしてそのうえで」
「そのヨットに乗って」
「谷を越えるのね」
「そうよ、期待は裏切られないわよ」
オズの国ではです、こう言ってでした。
どんなヨットか知っている人達はあえて内緒にして知らない人達はどんなヨットなのか考えてそのヨットを見ることを楽しみにしてでした。
ティータイムを楽しみました、そして。
そのヨットが来ました、そのヨットは。
「お空を飛ぶの」
「そうしたヨットなんだ」
「どんなヨットかと思ったら」
「お空を飛ぶヨットなんだね」
「そうしたヨットなの」
「そうなの、ここのヨットはお空を飛んで進むの」
トロットはそのヨットを見て言うナターシャ達五人に答えました。
「そしてこの深くて高くて険しい峡谷をね」
「越えるんですね」
「お空を進んでいって」
「そうですか」
「こうしたヨットがあるのもオズの国ですね」
「流石はオズの国ですね」
「そうでしょ、じゃあ今から皆で乗りましょう」
トロットは皆に言いました、そしてです。
ヨットが来るとそこからでした、鷲の頭と翼を持つ男の人が出て来てそのうえでトロット達に声をかけてきました。着ている服はギリキンの服です。
「乗るかい?」
「ええ、お願い出来るかしら」
トロットはその人に応えました。
「谷の向こうまでね」
「あっ、トロット王女じゃないか」
鷲頭の人
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