本当に怖いこと
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さらにトレギアは闇の雷を放つ。
「うあっ!」
悲鳴を上げながら転がる清香。
「別に私は、君が狙いじゃないんだ。その……荒魂だ」
トレギアは指を指す。
その対象は、人間ではない荒魂。
「それに、私はサーヴァントだが、別に聖杯戦争そのものに興味はない……他の参加者を全滅させてまで願いを叶えたいわけでもないしねえ」
トレギアの目が、赤く光る。
「だから……今の目的のために、君は邪魔なんだよ……!」
トレギアの目から、光線が発射される。
それは、迎え撃とうとする清香の剣から捻じ曲がり、回り込み、その背後から連続的に爆発を起こす。
「あっ……がっ……!」
写シという霊体、その内側から爆発したような痛みに、一瞬清香の意識が飛ぶ。
膝を折り、倒れかけた体を、蓮華不動輝広で支えた。
「へえ、頑張るねえ」
トレギアはパチパチと拍手を送る。
清香は震える足で立ちながら、御刀を構えなおした。深く息を吐くと、その写シが白から緑へ変わっていく。
そして続く、剣を中心に回転させた動き。それは___。
「治癒の舞!」
淡い、緑の光。それは、たった今トレギアに付けられた傷を、あっという間に治癒していく。
だが、その技は精神までは回復してくれない。
体に残る痛みから、清香は息を絶え絶えに再び膝を折った。
「ほう……大した回復力だ」
その様子を見ていたトレギアはゆっくりと頷いた。
「でも、それじゃあもう私には勝てないよねえ? 大人しく逃げた方がいいんじゃないかなあ?」
「だ、ダメです!」
それでもまだ、トレギアへの太刀打ちには程遠い。
トレギアの目の光、爪の刃、そして闇の雷。
あらゆる彼の攻撃手段が、清香の華奢な体をあちらこちら刻んでいく。
清香の体から、白い写シが散り散りに破れていく。
「おいおい……まだやるのかい?」
トレギアは倒れた清香を踏みつける。
「うっ……!」
仰向けの清香、その顔面。じりじりと踏みつけてくるトレギアを、清香は見上げていた。
「い……や……逃げて……!」
とても勝てない。
それを確信した時、清香はコヒメへ訴えた。
だが、肝心のコヒメは、もう腰が引けているのか、へたり込んでいる。
「全く、人間は理解できないよ」
トレギアは、頭を振った。
「少しでも違う者を拒絶するくせに……よくもまあ荒魂なんて怪物を友達呼ばわりなんて」
トレギアは踏みつける足に力を込めながら言った。
写シを通じて、顔が圧迫される。
涙を浮かべながらも、清香はコヒメへ訴える。
「逃げて!」
その発破に、コヒメはようやく清香に背を向けた。
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