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冥王来訪
第一部 1977年
深潭 その2
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推進装置で勢いよく進むと壁のようなものに当たった
電磁波の探査ではこの先に大規模な空間があり何か巨大な存在が確認できる
砲撃で≪壁≫を破壊すると、開けた場所に着いた
周囲は暗黒でよく見えない
気配は感じる

マサキは、美久に呼びかけた
「おい、俺が攻撃すると同時に、転送しろ。この場所諸共吹き飛ばす」
美久は戸惑いながら応じた
「ですが、地上の部隊はどうするのですか。此の儘じゃ最悪巻き添えですよ」
彼は失笑しながら
「あいつ等は、ここまでの道案内にしか過ぎん。そもそも人民解放軍を信用しすぎだぞ
奴らは俺たちをうまく使って政治的利益を稼ぐ材料にしか考えていない」

美久は、彼を宥めるために、いったん置いた後、こう答えた
「それは酷過ぎるのでは」
言い終わる前に、彼は答えた
「お前はガラクタのくせに甘すぎる」
言い過ぎてしまったかと、美久は思ったが遅かった
逆鱗に触れてしまったようだ
「そもそも俺はどれだけ、利用されてきたか。鉄甲龍にも、日本政府にも良い様に弄ばれ、剰え、殺されてしまったではないか」
操作盤をたたいて、言い切った
「お前は俺が作った人形だ。いうことさえ聞いていればよい。下手な推論は状況によっては判断を誤り、命さえ脅かす」


その時、ゼオライマーに触手状のものが絡まってきた
運よく瞬間的に移動した為、捕まれなかったが、油断はできない
「メイオウ攻撃で塵にしてやる」
スイッチを押した瞬間に振動が走る
「どうした」
左足に何かが絡まっている
どうやら化け物の触手に絡め捕られてしまったらしい

目の前に≪BETA≫が近づいてくる
いや、引き寄せられてるのだろう
タコのような姿かたちをしており、六つの目が見える
複数の触手が胴体を縛り始める
発射されるべき攻撃が始まらない
苛立ちと焦りを感じながら、叫んだ
「美久、何をしている、早く撃て」
彼女からの反応はなかった

(「まさか、電子制御を混乱させる妨害波でも出しているのか」)
彼は焦った
このマシンは、次元連結システムが無力化してしまえば、推力も攻撃力も著しく損耗してしまう
自分が作ったものとはいえ、こんな形で欠陥が露呈してしまうとは
補助兵装に、火器も、刀剣類もない。
文字通り素手なのだ
だからといって、メイオウ攻撃を解くわけにはいかない
システムさえ回復すれば、こんな化け物を吹き飛ばせる

次元連結砲のエネルギーを最大まで引き上げた
もし、エネルギーを吸い取るのであれば、吸い取るだけ吸い取らせればよい
おそらく吸い取る器のような物があるとすれば、上限があり、溢れ出る筈
こちらは無限の動力源なのだから、何れは、容量に収まり切らなくなり、やがては向こうは自滅するであろう

操作盤の電源が復旧し始
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