暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
関東大会
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がら答える。内野に返すボールも綺麗な回転がかけられており、真っ直ぐな軌道で相手の胸元へと届く。

「理沙!!」
「!!」

投手へと返球されたタイミングで大河原が大きな声を出す。後藤は彼女に目をやると、先程打球が飛んだ方を指さしているのを見て決まりが悪そうな顔をしている。

千紗(チサ)!!ナイキャッチ!!」

手で大きな丸を作って答える背番号17。理沙はそれを見てから大河原の方へと向き直る。

(瞳の奴……わざとカーブを要求したな?)

ベンチから見ていた町田はすぐに大河原の意図に気が付いていた。試合は五回の表で点差は12。コールドがほぼ確定している試合であるため、後藤の集中力が切れ始めているのがわかったから、それを引き締めるために抜けると真ん中に集まりやすいそのボールを要求し、あえて大きな当たりを打たせた。もちろんアウトになることが前提だが、多少点を失ってもいいくらいの気持ちがあったのだろう、とにかくエースの気持ちを引き締めさせることを優先した要求だった。

(レフトに打たせたのがまたイヤらしいよな、理沙の奴めっちゃ気にしてるし)

この試合が初出場になる少女のところにあえて難しい当たりを打たせてなおかつアウトにしてもらう。ただ、後藤に対してはそれだけではないようではあるが……

(あと二人三振に仕留めてやる)

前の回から少しずつ落ち始めていた闘志がここに来て最高潮まで上がっているのが目に見えてわかる。大河原は狙い通りになる単純な彼女を見て笑みを浮かべながらサインを次のボールを要求する。

「ストライク!!」

スピード、コントロール、キレ、全てが求めていた通りのボールを受けた左手に痺れが残る。それを投じた少女も手応えを感じていたようで口元を緩めていた。





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