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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
関東大会
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し、試合数自体も多いしな。できるだけ全員出してやるか」

球審として間近で選手たちの動きを見ていた彼はそのことを思い出しながら、明日からの試合の構想を練っていく。

「陽香に一試合完投させるか。次の日はリリーフで連投の練習もさせて……瑞姫を何回投げさせるかだな。まだ無理させるには早いか?」

今までも練習試合では多くのプランを持って挑んでいたが、イマイチ控え選手たちが力を発揮できず公式戦ではほぼ固定されたメンバーを使うことしかできなかった。そのため、これだけ悩みながら選手の起用ができることに彼は喜びを感じていた。

「莉愛と瑞姫を組ませてみたいけど、あのフォークを捕れるか?もう少ししてからでいいか?」

ブツブツと独り言を呟きながらそれぞれの試合のテーマを決めメンバーの選定を行っていく。時間を忘れてしまうほどのめり込んでいた作業は、日を跨ぐ寸前まで行われたのだった。















その頃、明宝学園を破り関東大会へと進出していた東英学園はその力を遺憾なく発揮していた。

「力入りすぎた!!リラックスしていけ!!」

マウンド上で余裕の表情を浮かべながら打者と対峙しているサウスポー。その少女の力を前に顔が青ざめている少女に対しベンチから声が飛ぶ。

「リラックスして力が抜けるなら誰も困らないけどね」

監督からの指示を受けて打者は一度構えを解き深呼吸をしていた。再度構えた彼女を見て後藤はニヤリと笑みを浮かべている。

(全く……余計なこと考えてるな、あいつ)

各都県の上位二校が出てくる関東大会。そこにプラスして開催地区の三位の高校も出場し計17校が参加する。東京都大会で優勝した東英は他の地区の二位の高校との試合になるが、そのためなのかエースの後藤は気が抜けている様子。大河原はそれを見て不満げな表情を見せながらサインを出した。

(カーブだ。外れていいぞ)
(おけまる)

投球に入ったエースを見てニヤリと笑みを浮かべる大河原。強い踏み込みと腕の振りから放たれた緩いボール。その軌道を見た瞬間、投じた少女と後ろを守る二遊間の少女たちの表情が変わった。

((甘い!!))
「やばっ」

真ん中に吸い込まれていくカーブ。緩い上に甘いそのボールを打者が見逃すはずもなくフルスイングで捉える。

「レフト!!後ろ!!」

打球が打ち上がった瞬間、まるでわかっていたかのようにすぐさま指示を出す大河原。だがレフトに入っている背番号17の選手はその声よりも早く後方へダッシュしており、落下点に入ったタイミングですぐさま振り向きボールを捕球していた。

「ナイスキャッチ」
「ありがとうございます」

センターの鈴川から声をかけられた彼女は帽子の唾に手を当てな
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