第二十二話 吹雪でもその九
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「あれはそうだったのでしょうね」
「童話にも出て来るよね」
「その伝説のお薬によってでしたから」
彼の怪我が完治した、それも瞬く間にだというのだ。
「本当に有り難うございます」
「それが遠井君にとっての希望だったんだね」
「そうです。そして希望はです」
「願いを適えてくれるんだね」
「希望を信じて最後まで頑張れば」
それによってだというのだ。
「必ずそうなります」
「そうなるんだね。じゃあ」
「はい、希望を信じて」
「僕自身の名前を信じてね」
希望も笑顔で応える。
「やってみるよ」
「そうされて下さいね」
笑顔で話してだ。二人は。
お好み焼きを食べていく。その中で真人が話した。
「ううん、このお好み焼きは」
「美味しいよね」
「この味ならです」
「何杯でも食べられるよね」
「そうですね。少なくとも四枚はです」
食べられるというのだ。
「僕もそれ位はいけます」
「僕だと六枚かな」
「そこまで食べられますか」
「うん」
笑顔でだ。希望は答えた。
「そんな感じだね」
「そして六枚召し上がられて」
「今日も行くからね」
「山までは遠いですよね」
「遠いけれどあっという間だよ」
彼の感覚ではそうなるのだ。時間や距離の感覚はその人の主観によってかなり自由自在に変わる。今も希望にとってはすぐの時間や距離なのだ。
「山までね」
「それで、ですね」
「千春ちゃんにお薬をあげてるんだ」
「あの人はお屋敷に住んでおられましたよね」
「そうそう。前話したよね」
「そこは今は」
「まだあるよ」
屋敷自体はあるというのだ。
「けれどそれでもね」
「そのお屋敷にはですか」
「あえて行ってないんだ」
そうしているというのだ。今の希望は。
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