第二十二話 吹雪でもその八
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「まさにそれなんだよ」
「あの人以外の希望なんですか」
「そうだよ。僕の希望は一つじゃないんだよ」
「そうですか。それではです」
「それではって?」
「僕も同じですね」
お好み焼きが焼けた。そうしてだった。
そのお好み焼きを食べながらだ。真人は希望に言った。食べる前にテーブルの横にある濃厚なソースにマヨネーズ、青海苔と鰹節をかける。希望も同じ様にしている。
へらで切り箸でその切れ端を食べながらだ。そのうえで言うことは。
「遠井君は僕にとっての希望ですよ」
「そうなんだね」
「希望は。お互いであることもあるのですね」
「僕達みたいに」
「友人同士の希望もあれば」
「それでだね」
「はい、遠井君とあの人もです」
希望と千春、二人の関係もだというのだ。
「お互いに希望なのですよ」
「僕達お互いが」
「遠井君はあの人を助ける為に毎日行かれてますね」
「うん、そうだよ」
その通りだとだ。希望も答える。
「千春ちゃんを助けたいから」
「その人を助けようとする人はです」
「その人にとって希望なんだね」
「そうなると思います」
「僕は千春ちゃんにかなり救われたけれどね」
「あの人は遠井君にとっての希望ですね」
千春もまた希望だとだ。真人は彼に話す。
「ですから。お互いにです」
「僕達は希望だったんだ」
「この世に。パンドラの箱が開かれて」
またこの話になった。ギリシア神話の。
「多くの災厄がこの世に広まりましたが」
「希望は残ったね」
「希望もまたこの世に広まったのです」
災厄と同じくだ。そうなったというのだ。
「遠井君にもあの人にも」
「それを言うと希望っていうのは」
「この世に多くありますね」
「そうだね。ないと思っていたのに」
「実は違っていたのですね」
「沢山あるんだ」
希望は何時しかその目の光を温かくさせていた。
そしてその目でだ。こう言ったのだった。
「この世の中に」
「そうです。僕もわかったことです」
ついこの前までだ。わからなかったというのだ。
「希望がこの世に多くあることは」
「ないとは思ってなかったよね」
「少ないとは思っていました」
全否定ではないがだ。期待はしていなかったというのだ。
「実際のところは」
「そうだったんだ。友井君は」
「はい。ですが僕が怪我をした時に」
「ああ、夏休みだね」
「遠井君はいつも来てくれましたね」
「友達だからね」
「それがです」
彼が来てくれた、そのこともだというのだ。
「希望でしたし」
「大したことじゃないよ、あんなの」
「遠井君がそう思われていても
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