暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第四十五話 戦う意味
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
所を考えているのかと思いまして」
「成功した後の事?そりゃあ……ヤンが言った様に講和じゃないのか」
「帝国は同盟を対等とは認めていません。帝国的には我々は政治犯です。政治犯とは講和など有り得ない」
「ではどうなると言うんだ?ヤン、どうだ?」
「私も選択肢は講和しか無いと思っていましたから…うーん」
「戦争の理由に根本的な問題があります。イゼルローンを奪取したくらいでは戦争は終わりませんよ。小官が思うに、あまりにも長く戦争が続いている為に、政府も軍部も戦争終結という事を考えた事がないんじゃないでしょうか。考えた事が無いから止め所が分からない」
「しかしお前さん、帝国は講和など認めないと今言ったばかりじゃないか。止め所などあるのか?」
「ありますよ。でもこれは皆が納得しないでしょう。ヤンさん、分かりますか?」
「まさかとは思うが…降伏かい?」
「その通りです。ですが無条件に降伏する訳ではありません。自由共和制を認めて貰う事が条件です。宗主権は帝国でも構わない、同盟領域においては完全な自治権を認めさせる。その上での降伏です」
「名より実を取るという事かい?しかしそれでは…」
「専制主義の庇護下での民主主義は納得がいきませんか?専制主義イコール悪政ではないと思います。やり方次第で共存は可能だと思いますよ」
「悪政ではないかもしれない。だけど、悪政や暴君が出現する可能性は大だ。帝国の歴史が、いや人類の歴史がそれを示している」
「では民主政治は悪政ではないと?帝国の生まれた経緯をお忘れですか?それも歴史の結果ですよ。元首の権力に制限をかけるか、廃立を審査出来る機関でも設ければ、悪政は防げると思います」
「絶対王政ではなく立憲主義のような物だね。でも、突き詰めて行くといずれは民主共和制になるのではないかと思うんだが…」
「それは我々が考える事ではありません。無責任に聞こえるかもしれませんが、帝国には帝国の事情があります。それを我々にどうこう言われたら、向こうだって頭にきますよ。余計なお世話だ、ってね」
「そんなものかな…」
「まあ、理想論はさておき、このまま戦争を続ければ同盟はいずれジリ貧になります。国力は帝国が上だし、フェザーンだって味方とは限らない。それに民意が戦争継続を望んだ場合、いくら負け込んでいても止められないのですから。専制主義打倒、スローガンはいいが、現実を見据えていただかないと」
「理想論か…講和も降伏も、誰も納得しないだろう。降伏、負ける為に戦うなど、口が割けても言えんだろうしな。だがジリ貧になると決まった訳じゃないだろう」
「確かに決まった訳ではありませんけどね。そうなる可能性は高いですよ」
「ウィンチェスター、私などより君のほうが副官が似合ってる様な気がするな。つかぬ事を聞くんだが、君は帝国が憎くはないのかい?
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ