敢闘編
第四十五話 戦う意味
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「キャゼルヌ大佐、いい加減には出来ません。質問された以上、いい加減なまま質問に答える事は出来ません」
いい加減にされてたまるか、死ぬかもしれないんだ。
「ウィンチェスター中佐、何が言いたい」
「閣下の野心の為なら、小官は納得がいかない、と言いたかったのです。まだ死にたくはありません。ですが、政府の命令なら仕方がありません」
「ウィンチェスター!」
「そう怒るな大佐。私の野心の為なら納得がいかない、か…了解した。決して私の野心の為ではない。そう見えたのなら私に徳が足りないのだろうな。ところで中佐、まだ質問に答えて貰ってはいないが、成功すると思うかね」
「……ヤン中佐と同意見です」
「敵の戦力か。イゼルローン要塞単体の能力と駐留艦隊を基準としてこちらの兵力を算出した」
「確か第四、第五、第八、第十の四個艦隊…五万二千五百隻ですね。まあ、大丈夫じゃないでしょうか」
なんとしても成功させたいのならこの倍は必要なんじゃないか、と思うんだけど…。本当に成功させたいんだろうか?古来、城攻めは城方の三倍以上の兵力を揃えるのが理想とされている。その原則からこの兵力なんだろうけども…イゼルローンは昔の城と違って要塞主砲なんて厄介な物を持っているし、後詰、要するに援軍が来たら攻城戦なんてやってる余裕はなくなる。でも…こっちの兵力が多いと、駐留艦隊は要塞主砲の有効射程内から出てこないだろう。要塞と駐留艦隊が相互に補完し合っているからイゼルローン要塞は堅固なのだ。
うーん…大兵力は必要だが、こっちが多ければ相手は引っ込む、こっちが少なければ要塞を攻略出来ない…面倒くせえなまったく…。
「帝国が増援を出さなければ、勝機は充分にあると思います」
「増援か…是非来ないで欲しいものだ」
「増援が来たらどうなさるのです?」
「撤退する。無駄死にはしたくないし、させたくもないのでね。…有意義な昼食会だったな、解散するとしようか」
食べ終わったのはシトレ親父と俺だけで、キャゼさんとヤンさんは食べかけのままプレートを持って、俺はシトレ親父の分と俺のプレートを重ねて持って副官室に戻る。副官室に戻ると、キャゼさんが大きな溜息をついた。
「お前な…あまりヒヤヒヤさせないでくれ」
「ヒヤヒヤさせてしまいましたか?質問に答えただけですが」
「言い方ってもんがあるだろう」
「小官だって同道するんです。死ぬと限った訳では無いですが、生きるも死ぬもどうせなら納得して戦いたいですし」
「それは分かるがな。言い争いになってもつまらんだろう」
「質問が悪いです。成功するかと問われて、そうは思えませんとはいえないでしょう?」
「するとお前さんは今度の要塞攻略戦が失敗すると思ってるのか?」
「そうは言っていません。小官が危惧するのは、失敗より成功した後の事です。政府はそこの
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