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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第四十五話 戦う意味
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も彼もが忙しそうです」
「皆忙しいフリをしているのだ。自分で自分の仕事を作り出してな」
「判る気がします」
穏やかに話す司令長官代理は、いつ見ても軍人とはこうあるべき、という見本の様な人だ。ヤンさんが忠誠を誓っていた、違うな、信頼していた…なのかな。優秀で誠実で…本音で話す事の出来る数少ない上官。そりゃあ信頼するな、うん。でも一つ気になる事があるんだよな。原作でもこの時期はヤンさんはシトレ親父の副官という立場だった。ヤンさんはシトレ親父の作戦案をどう見ていたんだろうか。副官という立場なら何か言えたと思うんだが…。どうだったっけなあ、外伝はうろ覚えなんだよな…。
「今回の要塞攻略戦、成功すると思うかね?」
「…長官代理の仰り様だと、作戦の成功を信じてらっしゃない様に聞こえますが…」
キャゼさんとヤンさんの手が止まる。手と口を動かしているのは俺とシトレ親父だけだ。
「成功はさせたい。だがそうは限らんだろう?」
「そうですね。ヤン中佐はどうお考えですか」
「え?私かい?中々いい案だと思うが…失礼しました」
「いや、構わんよ。ヤン中佐はどう思うかね」
「敵の戦力が分からない事には、何とも言えません」
「なるほどな。二人には先に聞いておくべきだったかな」

 そもそも選べる方針が攻勢か守勢しかない上に、フェザーンを攻める、なんて事が狂気の沙汰と言われかねないんじゃ、イゼルローンしか向かう所はないんだよな。シトレ親父の案に文句をつけられない、または言う気が無いんじゃ、ヤンさんの言う事は正しい。そもそも、シトレ親父は俺達に何かさせたいのだろうか?
「ウィンチェスター、ヤンはああ言ってるが、お前さんはどう思ってるんだ」
キャゼさん…話を元に戻さないで下さいよ…。
「…成功、不成功の前に、閣下はイゼルローンを奪取した後の事はどうお考えなのか知りたいです」
「……それは我々の考える事ではない」
「それは、要塞奪取後の事は白紙決定と思ってよろしいのですね?」
オイ、とたしなめるキャゼさんをシトレ親父が止めた。ナポリタンが冷めちまう…。
「ヤン中佐はどう思いますか」
「…攻撃の主導権は同盟に移る…講和という考えもあるんじゃないか」
「閣下はどうお考えですか?本当に我々が考える事ではないと?」
「…ヤン中佐の言う様に、講和という考えもあるだろう。だがそこは政治の領分だ。我々が口を出す事ではない」
…本当にそう思って言ってるのか?
「そもそもの話ですが、今回の出兵命令は政府の命令なのでしょうか」
「当然だよ。最高評議会での閣僚会議で決定された事だ。会議自体は非公開の物だが」
「軍部主導、ではないのですね?政府の決定が先にあって、実行組織として軍部が検討し、現在に至る。そうですね?」
「ウィンチェスター、いい加減にしないか」

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