第二十二話 吹雪でもその二
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「そうだね。それじゃあ」
「耳まで覆うやつな」
「それ被りや」
「そうだね。それも被って」
こう言ってだ。希望は一旦玄関から戻った。そうしてだ。
その耳まで覆いがある帽子を出して被った。カイロも服の裏のあちこちに貼った。
そのうえで行こうとするがだ。ここでもだった。
おばちゃんとぽぽちゃんがあるものを渡してくれた。それは。
「お酒?」
「そやで。ブランデーやで」
「これも持って行きや」
「身体が温まるからだよね」
ブランデーは強い酒だ。だから余計にだった。
そのボトルを受け取ってだ。希望はおばちゃんとぽぽちゃんに言ったのである。
「有り難う。じゃあね」
「ただ。飲み過ぎたらあかんで」
「身体を温めるだけにしときや」
「さもないと酔っ払って倒れてまうからな」
「それは気をつけや」
「うん、そうするよ」
希望は二人の言葉、そして心遣いに笑顔で頷いた。そうしてだった。
防寒を完全に整えてだった。外に出た。その外は。
まさに吹雪だった。ほんの一メートル先も見えない。だがその吹雪の中をだ。
彼は厚い靴で前に踏み出した。まだ誰も踏んでいない雪の感触を感じる。
だが完全に装備を整えている為寒さは感じない。今は。
そこまで整えてくれたおばちゃんとぽぽちゃんに感謝しつつ前に出てだ。千春のところに向かうのだった。
先に先に進む。確かに先に進んでいる。
だが道は遠かった。あまりにも。
街を出るだけでもかなりの苦労だった。しかも普段は電車を使って行く山だが電車も動かない。彼は山まで歩いていかねばならなかった。
彼は何時間も何時間もかけて山に向かった。時間が何時かはわからない。
道にも迷いそうになった。だが、だった。
彼は何とか先に進んだ。くじける訳にはいかなかった。
「諦めたら」
まさにだ。その時はだった。
「一日でも諦めたら」
千春は元には戻らない。選択肢は一つしかなかった。
山に向かう。何とか山の麓まで来た。だが。
山は町よりもさらに酷かった。雪の量も風の強さも。
ここで次第に寒さを感じてきた。確かにかなりの厚着でカイロもしている。
しかしそれでも吹雪の方が遥かに強かった。それでだった。
一旦おばちゃん達に貰ったブランデーを出して一口飲んだ。それから。
山に入る。山はあまりにも過酷だった。もう一歩先まで見えず顔に吹雪が打ちつけてきて足は膝まで雪に埋もれる。半分這っていく感じだった。
それでも何とか先に進みだ。遂にだった。
千春のところまで来た。木はかなり雪に埋もれていた。だが。
その割れている木の上の雪を払ってそれで薬をかけた。彼は何とかそれを果た
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