風船
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「……もう……」
清香は大きくため息をついた。
美炎から『迷子になった』という連絡を受け、清香は憤慨の表情を見せる。
「ほのちゃん、どこまで行ったの……?」
清香は口を尖らせながら、仮住まいへの道を歩く。
見滝原に来てから早半月。町で過ごすことにも慣れてきた清香は、コヒメと手を繋ぎ、仮住まいへの道を歩いていた。
「きよか。手、すごい痛い」
コヒメのその言葉に、清香ははっとした。思わず、コヒメを握る手に力が入っていたようだった。
「ああ、ごめんねコヒメちゃん」
「うー……」
コヒメは手を振る。
やがて彼女は、清香より前を歩きだした。
「ねえ、ちょっとラビットハウスに行こうよ!」
「ラビットハウス? そうだね、煉獄さんの様子も見に行った方がいいかもしれないね」
清香はそう言いながら、天を仰いでだ。
「……」
「きよか?」
いつの間にか足を止めていた清香を、コヒメが呼びかける。
「どうしたの?」
「あ、ううん。煉獄さんといえば、全然戦わなくて済んで良かったなあって」
煉獄の存在は、すぐに聖杯戦争に結び付いた。
煉獄、そして美炎の手に刻まれた令呪。
だが、その結果清香が知り得ている現状は、ただラビットハウスの店員が増えたことと、美炎が見滝原から出られなくなったということだけ。
「結局、何の戦いもないままだけど……いいのかな……?」
「きよか?」
結局美炎が聖杯戦争の参加者になってから、清香が知る範囲で戦いという戦いは起こっていない。
「もしかして、全部悪い夢だったりしないかな……? 戦いは怖いし、ない方がいいんだけど……あれ?」
ふとその時、清香は周囲を見渡した。
「コヒメちゃん!?」
コヒメがいなくなっていることに気付き顔が真っ青になる。
「コヒメちゃん!? どこに行ったの!?」
比較的人がいない道ではあるものの、あの白い人影はどこにも見えない。
誘拐でもされたのか、と考えていると。
「きよか! きよか!」
コヒメの声に、清香は跳び上がった。
「コヒメちゃん! よかった……どこに行ったのかと思ったよ……」
清香は胸を大きく撫で下ろした。
コヒメは清香の不安など知る由もなく、その手を握ってピョンピョンとはねた。
「きよか! こっち! すごいよ!」
「え? ちょっと、コヒメちゃん!」
「こっちこっち!」
コヒメが清香を引っ張るのは、路地側。
比較的人通りが少ないその場で、コヒメが目を輝かせた理由。
それは。
「大道芸? 今時珍しいね」
清香がそう、注目する相手。
白と黒に分かれた服が特徴的なピエロ。後ろ髪に青いメッ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ