風船
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り蒼い闇があふれ出た。それは、白と黒のピエロの体を、蒼一色に染め上げていく。
やがてそれは、ピエロの姿そのものを変容させていく。
やがて闇の中から現れた、赤い目の仮面。
その異常事態に、清香は慌ててコヒメを引き寄せる。
だが、それよりも先に闇の仮面は、その手から黒い雷を放ってくる。
「危ない!」
清香はコヒメを抱き寄せ、自らの背中を盾にする。同時に、懐の短刀を握り、内包される隠世の力を引き出した。
写シ。
刀使がもつ、もっとも基本的な力であると同時に、身を守るための必要不可欠な力。
だが。
「きゃっ!」
清香の体に命中した、黒い雷。
それは、清香の体を吹き飛ばし、一気に道へ投げ出した。
「きよか!」
ともに地面に投げ出されたコヒメが悲鳴を上げる。
清香はコヒメの無傷に安堵しながら、闇の仮面に向き直る。
破れた写シを張り直し、その御刀を闇の仮面へ向けた。
「あなたは……誰!?」
路地から出てきたのは、暗い闇。
人間とはまた違う、人型のヒューマノイド。
清香とコヒメは知り得ない、ハルトや可奈美と因縁浅からぬ敵。
「フェイカーのサーヴァント、トレギア。よろしく」
トレギアと名乗った仮面は、挨拶と同時にその腕を振るう。
長い爪が生えたそれは、コヒメとともに退避した清香の頬を切り裂いた。
血を拭いながら、清香は緊張を表情に浮かべた。
「トレギア……?」
それが、狂おしい好奇心という意味など知りようもない。
彼はクスクスと笑い、
「果報は寝て待てとはよく言ったものだね。まさか、ここで遊んでいるだけで目的のものがのこのこやってくるとは」
「この人……コヒメちゃんを狙ってる!?」
だが、清香の疑問を解消することはとてもできない、
トレギアは笑い声を上げながら、両手を広げて襲ってくるのだから。
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