火は波に呑まれ、鎮まる話。
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ってる。それに、こいつが先輩をどう思ってるかよく分かったし。」
「こいつじゃねぇ。マイだ。」
分かる。
お栄ちゃんは今、明らかにこの人に敵意を向けている。
だってサーヴァントに僕を殺せと指示した張本人だ。
怒らないわけが無い。
「お栄ちゃん。でもこの人は悪い人じゃ」
「ちょっとマイは黙っといておくれ。」
トントンと肩を叩かれ、お栄ちゃんはそう言うと僕から離れて近野さんの所へ行く。
近野さんもまた、肩を組んでいた先輩をその場に下ろし、お栄ちゃんの真正面に立った。
「何か、言うことねぇのかい?」
「悪かった。殺そうとして。それに顔を蹴飛ばしたのも反省してる。」
「顔?ああそうか、これもお前さんがやったってのかい?え?」
胸ぐらを掴まれ、近野さんにぐいと引き寄せられる。
このままではまずい。
近野さんは分かってくれたんだ。もう解決したことなんだ。
だから今、お栄ちゃんが手を出すのは間違ってる。
「同じ目にあわせてやろうか。」
「お栄ちゃん!待っ」
「あーあの、少年の彼女さん?」
振り上げた拳は、先輩の声で止まった。
「…なんだい?」
「あのさ…もう、終わったことなんだ。少年とこんちゃんのわだかまりも解けたし、仲直りしたんだよ。でなきゃ二人が力を合わせて私を助けたりなんかしない。そうでしょ?」
「…。」
先輩の話を聞くと、お栄ちゃんは気に入らないような顔をするけど渋々近野さんの服を離した。
「そこまで言うんなら…殴るってのも後味悪いしナ…わかった。先輩に免じて許しておく。」
そういい、開放された近野さんはすぐ先輩の元へ向かっていった。
そうしてほどなく、救急車や消防車のサイレンの音が聞こえてくる。
「先輩は私が病院までついてく。」
「うん。お願い。」
肩を組み、やってきた救急車へと歩いていく2人。
「…分かったよ。お前の気持ち。」
「え?」
「先輩はお人好しでさ。誰にでも仲良くする。それで勘違いする下心丸出しのバカも多いんだけど、お前は別だってこと。」
「…。」
それだけいうと近野さんは救急隊員に連れられ、田所先輩と同伴ということで救急車に乗り込んで行った。
「おーい!葛城!!」
ひと段落も着いた頃、友作くんと暮馬くんが向こうから走ってくる。
だいぶ慌てた様子だけど、僕の背中を見るなり落ち着いたような驚いたような表情をして治った僕の背中を思わず二度見していた
「お前それ…!?」
「うん。治った。」
「治った!?遠くからでも分かるひどさだったんだぞ!?」
「うん。思ったより軽かったみたい。」
ものすごい痛かった背中の火傷はもうまったく痛みも感じない。
骨が見えてたとか言っていたけど、もしかしたら実は気の所為
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