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八条学園騒動記
第六百四十二話 修羅道その一

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                修羅道
 タムタムはフランツにさらに話した。
「源氏、頼朝さんは餓鬼ではない」
「浅ましくはなかったか」
「冷酷であってもな」
「冷酷と浅ましいのは別だな」
「だから餓鬼じゃない」 
 頼朝はというのだ。
「別にな」
「そうか」
「しかしだ」
「それでもか」
「冷酷なのは確かでだ」
 敵は誰であろうが根絶やしにする、タムタムはそれを冷酷としているのだ。
「それで沢山の人を殺したがな」
「それなら地獄に堕ちているか」
「いや、功績もあるからな」
 頼朝もというのだ。
「地獄にもな」
「堕ちてはいないか」
「そうだと思う」
 タムタムとしてはというのだ。
「あの人はな、しかしだ」
「それでもか」
「いい生き方はしていなかった」
 頼朝はというのだ。
「だからな」
「餓鬼道や地獄道に堕ちていなくてもか」
「仏教では人には生まれ変わっていないだろうな」
「じゃあ何になっていた」
「修羅か」 
 これではないかというのだ。
「修羅道にな」
「堕ちていたか」
「そうだったと思う」
 頼朝はというのだ。
「到底善人とは言えない人生だったしな」
「それでか」
「お互い戦い合い殺し合うな」
 そうしたというのだ。
「修羅になっていただろう、それは源氏自体がな」
「言えることか」
「あの家は本当に酷かったからな」
 常に身内で殺し合っていたからだというのだ。
「何しろ敵と戦う前にな」
「さっき言った通りだな」
「まず身内で殺し合った」
 そうだったからだというのだ。
「そして勝った方は負けた方を根絶やしにする」
「そうした家だからか」
「修羅だ」
 堕ちるならというのだ。
「そちらだ」
「修羅道か」
「そこでもう生まれ変わるまでな」
「殺し合っているか」
「そうだろうな」
 源氏はというのだ。
「確かに人類の歴史だとな」
「身内で殺し合うのは多いな」
「よくある話だ」
「そうだな」
 フランツは苦い顔で応えた、タムタムも同じ顔になっている。
「残念だが」
「そうだな、しかしそれで血が絶えたのはな」
「滅多にないな」
「ルシエンの国だが」
 トルコはというのだ。
「オスマン朝では一人が皇帝になるとな」
「どうなった」
「その兄弟は皆殺された」
「身内での内乱を避ける為にか」
「その前に殺されていた」 
 皇帝、スルタン=カリフとなった者の兄弟全員がだ。若しくは一生豪奢な生活と共に監禁されていた。
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