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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第四十四話 理想と現実
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を持っていても多数派を切り崩すか、取り込むかせねばトップには立てても長続きはせん。見物だな」
「はい」




宇宙暦792年4月8日15:00 ガンダルヴァ星系、ウルヴァシー近傍宙域、自由惑星同盟軍、
EFSF第二分艦隊、旗艦ベイリン ヤマト・ウィンチェスター

 惑星ウルヴァシーを初めて見た。入植可能だが、現在は入植計画がない、という。
勿体ないなあ。戦争する暇あったら…って、そういう訳にもいかないのか…何だよワイドボーン。
「中佐。黄陣から各陣形への転換にかかる平均時間ですが…」
「何か問題が?」
「平均すると十五分四十七秒です。まずまずな数値ですが、もっと短縮出来ると思うのですが」
「出来るでしょうね」
「では再度訓練を…」
「少佐」
「何でしょうか」
「貴官はこの艦隊をどうしたいのです?」
「それは…最前線を守るにふさわしい精強な艦隊にしたいと思っていますが」
「では、何を根拠にまずまずな数値だと考えたのです?」
「シミュレーションです。ウチの艦艇数をシミュレーターに入力し、はじき出しました。計算上は十三分台まで短縮出来る筈です」
「錬度設定は」
「Bです」
「その根拠は」
「現司令官に交代された後に行われた錬度判定演習の結果からです。その時の判定はAでしたので、今回の再編成で新規に補充された艦艇、人員の分を勘案してBとしました」
「ふむ。考え方は悪くないですね。でもうちは再訓練は行いませんよ」
「何故ですか!?」
「決まっているじゃないですか。お金(予算)が無いからです」
「そんな…それだけの理由で?そんな事では帝国との戦争に…」
「お金は無限ではありませんよ」
「ですが…」
「答えが知りたければ夕食後にしましょう。その時に少佐なりの答えを聞かせてくれる嬉しいですね」
「…了解致しました」
…おい、フォーク…なんだその顔は。なんで驚いた顔してるんだよ。
「フォーク、食堂行くぞ」
「は、はい」

 ナポリタン、ナポリタンっと…あれ?ない!なんで…あら、ナポリタンどころかパスタ類がメニューから消えとる。仕方ない、また植物蛋白(グルテン)カツレツにするか…。
「中佐、先程のワイドボーン少佐とのお話ですが」
「何か疑問でも?」
「いえ、本当に陣形転換の所要時間の平均は、短縮しなくてもいいのかなと思いまして」
「それは必要だよ」
「…でも先程は」
「時間短縮が必要ないとは言ってない、再訓練は必要ない、と言ったんだ。いいかい、再編成の後の慣熟訓練というのは現状確認の為の訓練なんだ。そりゃあ、錬度は少しでも上の方がいいから、目標の数字はあった方がいい。でもね、それを達成する事が目的じゃないんだ。艦隊として行動する上で一定の基準に達しているかどうかを見る為の訓練なんだよ」
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