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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第四十四話 理想と現実
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人気者になりたい訳じゃないんですけどね」
「そこの青びょうたん…じゃないフォーク中尉だって学年首席、ワイドボーン少佐だって首席。貴方だって首席でしょ?」
「ええ、まあ」
「こんな場末の艦隊に士官学校の首席が三人。人事局は何をしているのかしら。後輩のフォーク中尉は当たり前かもしれないけど、年次が上のワイドボーン少佐までが貴方を目標にしてる。充分人気者よ」
「青びょうたんって何ですか、カヴァッリ少佐」
「物の例えよ、フォーク中尉。気にしないでいいわ」
「は、はあ」
フォークもパオラ姐さんにかかると形無しだな…それにしても場末はひどい。目標か…宇宙艦隊司令部に行ったらもっとひどい事になりそうだ…。
「それはともかく、負けるんじゃないぞフォーク」
「当時のワイドボーン候補生が落第ギリギリのヤン候補生にシミュレーションで負けたのは、我々の間でも有名な話でした。少なくとも小官は三次元チェスではヤン中佐に全勝ですからね。大丈夫ですよ」
「あのな…」
「高度な柔軟性を維持しつつ、常に臨機応変に対処する…これが私のモットーですから。ご心配なく」
基本的な所は変わってないなこいつ…まあ明るくなったから良しとしとくか…。



帝国暦483年4月5日12:00 フェザーン星系、フェザーン自治領、自治領主府
アドリアン・ルビンスキー

 「では自治領主閣下、これからもよしなに」
自らの行為が祖国を貶める事になると気付きもせん。所詮、政治体制など飾り物に過ぎないのだ。イデオロギーに囚われると、人は皆盲目になってしまう。同盟が勝利する為にはフェザーンの友≠勝ち得なくてはなりません…か。その為には自国の情報をいとも簡単に売り渡す。ふん、下らんな。
「補佐官、来てくれるか」
“かしこまりました”
「お呼びでしょうか」
「同盟がイゼルローンに艦隊を派遣するぞ。大規模にな」
「何か、その様な兆候でも」
「インサイダーだ。同盟の軍需企業の二代目が取引を持ち掛けて来たのだ。しばらく大量発注が続くと」
「なるほど。では確かですな」
「レムシャイド伯に伝えろ。ああ、帝国本土のワインの逸品も忘れずにな」
「どのようにお伝えしましょう」
「君に任せる。規模はまだ不明だが、判り次第伝えると」
「はい。ああ、私からも報告せねばならない事がございます。例のウィンチェスター中佐ですが、どうやらヤン中佐共々宇宙艦隊司令部に移動する様です」
「エル・ファシルの奇跡とブルース・アッシュビーの再来か。中々の組み合わせだな。だが軍内部の主流派足りえなければ、組織の中では生き残れまい。良薬は口に苦し、同盟軍がこの二人を使いこなせれば面白い事になりそうだが、どうなるかな」
「現在の宇宙艦隊司令長官、まだ代理ですが、彼は二人を重用する意向の様です」
「使える駒
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