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イベリス
第三十二話 夜の会話その十

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「若し梅毒じゃなくて」
「生き残っていたら」
「その時はね」
「何かを出来たかも知れないのね」
「坂本龍馬さんは海運会社を経営していて」
 彼が夢見た様にというのだ。
「芹沢鴨さんは軍隊に入っていたかも知れないわ」
「あの人もなの」
「実は親分肌だったから」
 その為生前は新選組でもかなり人望を集めていたという。
「それで勤皇派だったのよ」
「新選組って幕府じゃない」
「だから暗殺されたみたいよ」
「親分肌ってことは人望あったのね」
「それで実際隊でも多くの人に慕われていてね」
 当時の新選組、まだ浪士隊といった中でだ。
「腕も立って」
「滅茶苦茶強かったのよね」
「それで勤皇派だったから」
「新選組を預かる会津藩としてはだったのね」
「危険過ぎてね」 
 何時多くの隊士を連れて勤皇派につくか気が気でなかったかも知れない、それだけ芹沢は大物であったのだ。
「それでね」
「暗殺されたのね」
「会津藩が土方歳三さん達に言ってね」
 そのうえでというのだ。
「そうみたいよ」
「そうなのね」
「それで芹沢さんもね」
「暗殺されなかったら」
「軍人になって」
 そうしてというのだ。
「活躍したかも知れないわ」
「そうなのね」
「一番残念なのは西郷さんと大久保さんだと思うけれど」
「薩摩藩の人達ね」
「あの人達はね」
 実にというのだ。
「死ななかったら」
「もっと何か出来たわね」
「そう思うわ」
 母にしてもだった。
「どの人もね」
「西郷隆盛さんね」
「もう役目は終わっていたかも知れないけれど」
 歴史におけるそれはというのだ。
「大久保さんもね」
「それでもなの」
「若しかしたらね」
「お二人共何か出来たかも知れないのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「お母さんとしては残念にね」
「思うのね」
「そうなの、まあ役目が終わったとかは神様だけが知ってるわね」
「そこは人じゃわからないのね」
「どうしてもね、ただね」
「ただ?」
「西郷さんも大久保さんも天寿を全うしては欲しかったわ」 
 二人共というのだ。
「仲違いせずにね」
「西郷さんと大久保さんって幼馴染みだったのよね」
「もう兄弟みたいな関係だったのよ」
 それが為に絆は深かった、西郷がどれだけ辛い時でも大久保は彼に会えずとも彼を支え西郷もまた大久保に全幅の信頼を置いていた。
「というか実の兄弟以上にね」
「絆が深かったの」
「そうだったのよ」
「仲はよかったのね」
「だからね」
「おお母さんは仲違いして欲しくなかったのね」
「そうだったわ、歴史の役目を終えているのなら」
 西郷も大久保もというのだ。
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