疾走編
第四十三話 派閥
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いや、本当にありがとう」
「移動はいつです?」
「七月頃だな。お前さんも何も準備していないだろうし、任務の引き継ぎもあるだろうからな」
「了解しました」
「明日は空いているか?」
「この後大長征で酔い潰れない限りは」
「はは、そうか。明日の昼にまた連絡するからな、飲み過ぎるんじゃないぞ」
2月17日19:00 ハイネセン、ハイネセンポリス三番街、大長征(ザ・ロンゲスト・マーチ)
ヤマト・ウィンチェスター
いやあ、いつ来ても懐かしいなここは。いつ来ても、と言っても、ここに来るのは下士官術科学校以来だな…アッテンボロー先輩が手を振っている。
「お、来た来た、キャゼルヌ大佐は何の話だったんだ」
「…お前はまだ結婚しないのか、って言われましたよ」
「なんだ、てっきり大佐がまた悪巧みしているのかと思ったのに」
「悪巧み?」
「お前さんやマイクは被害に遭った筈だがな。フェザーンに行かされただろう?」
「知ってたんですか」
「ヤン先輩だってエコニアに行かされたからな。被害者だらけだ。ふーん、結婚ねえ」
「あれ、ラップ大尉はもう帰ったんですか?」
「ジェシカさんが待ってるんだと」
「そうなんですね」
ジェシカ・エドワーズさんか…俺達が士官学校に編入された時には、もう彼女は士官学校に居なかった。
アニメの印象だと、ジェシカさんはヤンさんの事を…いや、よそう。ポロっと話に出たらなんか気まずい。
「ヤン中佐、宇宙艦隊司令部に移動だそうですね。おめでとうございます」
「おめでたくないよ。私は結構第八艦隊司令部が気に入ってるんだ」
「そうなんですか?」
「うん。司令部にコーヒー党がいないんだ。航海中でも気兼ねせずに紅茶を楽しめる。それに旗艦では茶葉はいいのを使ってるからね」
「…なるほど、と言うか、茶葉は自前ではないんですか?」
「シロン産を使っているんだよ。自宅にある物よりいいやつだからね」
「…ブランデーを入れてるでしょう?」
「よく分かったね。だけど、たまに入れてるだけだからね、誰にも迷惑はかけてないさ。でも宇宙艦隊司令部に移ったら忙しくなるだろうし、こうもいかないだろう?」
「…多分、今だって忙しい筈なんですけどね」
ヤンさんの未来を思うと、第八艦隊で紅茶を飲んでいた方が幸せだったのかも知れない。平和な国の軍人だったら…早々に退役して、私家版の歴史の本でも出版してのんびり暮らしていただろう。未来か…。俺の知らない銀河英雄伝説…。
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