疾走編
第四十三話 派閥
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」
「何で私に聞くんだい。おめでとう、ラップ。心から祝福するよ」
「…ありがとう、ヤン」
2月17日16:00 アレックス・キャゼルヌ邸、ヤマト・ウィンチェスター
「悪いな、お前さんだけ残って貰って」
「いえ、構いませんよ。ミセス・キャゼルヌの手料理を独占できますからね」
「はは、褒めてくれて有難い。お前さんを残したのはまあ、あれだ。酒が入るとヤンは理想家の面が強く出るし、アッテンボローは過激な共和主義者に変貌するし…まあ、ヤンはラップと久しぶりに旧交を温めたいだろうし、ヤンを含め他の連中にはまだ聞かせられん話だ」
「なるほど。私なら大丈夫なんですか?」
「お前さんはハイネセンに居ないからな」
「ああ、そういう事ですか。なら確かに私は適任ですね」
「済まんな」
密談の相手か…。うん、嫌いじゃない。
「宇宙艦隊司令部に来ないか」
「またその話ですか…前にも断わった筈ですが」
「そうなんだがな、まあ聞いてくれ。司令長官代理はイゼルローン攻略を考えておられる」
「…大きな話ですね」
「参謀の陣容を整えたいんだ。宇宙艦隊司令部にも秀才、英才は沢山いるが、どいつも似たり寄ったりでな」
「ヤンさんがいるじゃないですか」
「ああ、四月にはヤンも宇宙艦隊司令部に移動させる。だが、分かるだろう?ヤンは自説を通そうとする時に弱いというか、若さも手伝って周りに受け入れられない所がある」
「私だって若いですよ」
「お前さんは違う。なんてったって将官推薦だからな、ヤンと同じ様に若くても発言に重みがあるんだ。確かにヤンは大きな功績を立てたが、普段があの有り様だからな。あのエル・ファシル脱出だってまぐれ当たりと思われている」
「それは違います、ヤンさんは頑張っていましたよ。我々はその御膳立てをしただけで、指示は全て当時のヤン中尉が出していました」
「確かにそうだろう。だがそれを正しく理解してくれる人は少ない」
「…有り得る事ですね」
「ヤンを支えて欲しいんだ。これは、友人としてのお願いだ。頼む」
「…一杯頂けますか?」
「ん?ああ、ほら」
宇宙艦隊司令部か…行きたくなかったけどな…。ヤンさんは押しが弱い、確かにその通りだと思う。非常勤参謀。言い得て妙、全くそのままなんだよな。どうせ行くならもっと経験を積んでからの方がよかった…確かにヤンさんを支える事は出来るだろう、でもその結果、俺達を使うシトレ司令長官代理への反感は増すんだよ…って事は要するにシトレ派として入閣しろって事か?ああもう…まぐれ当たりの非常勤参謀、ぽっと出の将官推薦者…やっぱりラインハルトとキルヒアイスをとっ捕まえときゃよかったかな…三顧の礼よろしく、もう一度断るか…いや、さすがに悪いな…仕方ない。
「分かりました。この話、受けます」
「受けてくれるか、
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