第六百四十一話 餓鬼道その九
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「ひがむ、そしてだ」
「批判ばかりか」
「そして自分の域に落とそうとする」
「貶めるか」
「しかし何もない奴に誰が貶められる」
タムタムは冷たい声で言い切った。
「結局は自分だけがだ」
「最底辺にいるか」
「そしてどんどん悪くなってな」
「餓鬼になるか」
「だからさっきのあいつもだ」
「誰も近寄らないか」
「餓鬼には誰も近寄らない」
最底辺まで堕ちた輩にはというのだ。
「そして餓鬼は容易には救われない」
「零点だからだな」
「その零点であることに気付いて一点でも持てばな」
それでというのだ。
「救われるが」
「それでもか」
「そうした奴はそうはいない」
餓鬼達はというのだ。
「全く何もないまでの奴はな」
「屑は屑でもか」
「一点でも、僅かに望みがあれば」
それでというのだ。
「それならな」
「まだ何とかなるか」
「その可能性はあるが」
それでもというのだ。
「しかし全く何もないとな」
「助からないか」
「本当に蜘蛛の糸を垂らしても」
?陀多の様にというのだ。
「それに着かむどころかな」
「文句を言うか」
「細いだの切れるだのな」
「感謝しなくてか」
「それでだ」
その為にというのだ。
「救われる筈がない」
「堕ちるだけか」
「具体的に言うとな」
タムタムは豚肉の塊を焼いたものを串に刺したものを食べつつ言った、フランツも同じものを食べていてもう一方の手には青ワインが入ったコップがある。
「感謝の気持ちや思いやりだ」
「そうしたものか」
「そうしたものがないとな」
「どうしてもか」
「救われない」
「そうか」
「例えば食うものを出してもらう」
食事をというのだ。
「それで嬉しいな」
「それは当然だな」
「その当然と思う気持ちがないとだ」
さもないと、というのだ。
「救われない」
「そうなのか」
「そして困っている人がいるとな」
「助けるか」
「その気持ちもないとな」
さもないと、というのだ。
「駄目か」
「感謝と思いやりか」
「あと謙虚さもな」
「それもか」
「少しでもあるとな」
「救われるか」
「こうしたものが一切ないとな」
それこそというのだ。
「人間堕ちてだ」
「腐っていってか」
「餓鬼になってな」
そうしてというのだ。
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