第二十話 災いの雷その十
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千春の家、彼女に何度か案内してもらったあの屋敷に向かうことにした。だが。
ここで彼は気付いたのだった。そこに行くまでの道を知らないことに。それでだった。
千春に携帯で尋ねた。するとだった。
「目を閉じて」
千春は携帯から希望に言ってきた。
「今はね。そうして」
「目を?」
「そう。目を」
そうしろというのだった。
「そうしてくれるかな」
「目って一体どうして」
「希望今何処にいるの?」
「山月堂の前だよ」
丁度和菓子を買ったばかりだったのだ。
「そこにいるよ」
「わかった。それじゃあね」
「目を閉じるんだ」
「そうして。お願い」
「わかったよ」
希望は千春が今どうしてそう言うのかわからなかった。だが。
彼女を信じているが為、その為にだった。
言われるまま目を閉じた。そうすると。
「開けていいよ」
「うん」
言われるままに目を開けると。そこにだった。
あの屋敷、千春の家があった。そこに来てだった。
希望はすぐに家の門を開けて中にあの広い庭から屋敷に入った。すると。
そこに執事やメイド達がいて。こう彼に言ってきた。
「お嬢様がお待ちです」
「すぐにお部屋に」
「はい、千春ちゃんの部屋ですよね」
「そこにです」
「ご案内します」
こう言ってだ。そうしてだった。
彼等は屋敷、洋館の二階にある千春の部屋まで案内した。そこは彼が今まで行ったことのない部屋だった。そのダークブラウンの木製の扉を開けると。
白く奇麗な部屋があった。下はえんじ色の絨毯だ。部屋の隅に机と椅子があり大きな本棚の中には色々な本が埋める様に入れられている。
一方は全て窓になっておりそこから明るい光が差し込めている。その部屋の白い大きなベッドの中に。
千春がいた。だが、だった。
彼女はいつもと違う蒼白になった力のない顔でだ。こう希望に言ってきたのだった。
「希望、来てくれたんだね」
「うん。ただ」
「どうしてここに来たかっていうの?」
「前からそうだったけれど。千春ちゃんと一緒にいる時って」
一瞬で移動する。希望は前から疑問に思っていたこのことを彼女に問うた。
「どうしてよくすぐに行き来できるのかな」
「力なの」
「力?」
「そう。千春がそうさせてるの。力で」
「力でって」
「仙人っているよね」
千春は自分の枕元に来た希望に言った。
「沢山生きたり修業して力を身につけた人」
「物語とかでよくいるよね」
「それは人間だけじゃないの」
「人間だけじゃないって?」
「生き物とかね。草木だってそうなの」
千春は希望に対して語っていく。
「それっ
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