第六話 中間テストその五
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「問題外なのは河豚ね」
「河豚の毒よね」
「河豚の毒は火を通しても変わらないから」
河豚の毒であるテトロドキシンの恐ろしいところだ、猛毒であるだけでなく熱でも変化しないことも恐ろしいのだ。
「だからね」
「ちゃんと調理しないと」
「あたって」
その毒にというのだ。
「死ぬわよ」
「確実によね」
「鉄砲だから」
かな恵は留奈にこうも言った。
「だからね」
「そうそう、鉄砲なのよね」
理虹も河豚について語った。
「河豚って」
「大阪じゃそう言うのよね」
「あたると死ぬから」
「鉄砲も弾にあたると死んで」
そしてというのだ。
「河豚もね」
「毒にあたると死ぬから」
「鉄砲なのよ」
「そう呼ぶのよね」
「だから素人が軽い気持ちで調理したら」
そうして食べればというのだ。
「冗談抜きでね」
「死ぬのね」
「そうなるのよ、首から下埋めても」
その民間療法を行ってもというのだ。
「死ぬから」
「あれ迷信なの」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「もう最初からね」
「ちゃんとしたお店で食べるべきなのね」
「だから長い間食べられなかったのよ」
特に江戸ではそうだった、それは当然毒にあたり死ぬからだ。
「河豚はね」
「そうよね」
「それが伊藤博文さんが食べて」
日清戦争の後の下関条約締結で下関に来た時にだ。
「それからね」
「大っぴらに食べられる様になったのね」
「そうなったの、けれど」
「それまでは」
「禁止されていたから」
それでというのだ。
「本当にね」
「河豚もちゃんと調理しないと」
「危ないってことよ」
「河豚は有名よね」
「兎に角迂闊な気持ちで食べるとね、お魚とかは」
「危ないのね」
「美味しいけれど」
それでもというのだ。
「そのことはね」
「注意が必要ね」
「そう、食べものも」
こちらもというのだ。
「用心しないと。特にテスト前はね」
「注意することね」
「そうしないとね」
「あたるのは論外ね」
「そう、ただインスタントラーメンを食べるにしても」
手軽に食べられるそれもというのだ。
「出来ればお野菜とか卵とかをね」
「入れるのね」
「葱とかもやしとかどっさり入れて」
その様にしてというのだ。
「食べるとね」
「いいのね」
「ただ食べるよりもね」
それよりもというのだ。
「私そうしてるし」
「かな恵ってそうよね」
富美子はそのかな恵に確かにという口調で応えた、五人共喋っているがそれでも手の動きが止まることはない。
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