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歪んだ世界の中で
第二十話 災いの雷その九
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「希望もどや?」
「一緒に観るか?」
「僕はいいよ」
 希望は笑顔でこう二人に返した。
「勉強中だからね」
「そうか。じゃあ頑張りや」
「しっかりするんやで」
「うん、頑張るよ」
 希望はおばちゃん達の今の言葉にも幸せを感じていた。
 本来の両親は彼が勉強していても全く応援なぞしなかった。そんなことは放っておいたのだ。褒めることなぞ考えられもしないことだった。
 だからだ。そのことにも喜びを感じていたのだ。
 そのうえで彼は幸せを感じながら自分の部屋に戻って勉強に戻った。だが。
 翌日だった。学校に来ると。
 千春はいなかった。彼はこのことに戸惑いを覚えた。それでだった。
「携帯に連絡を入れられたんですね」
「うん、千春ちゃんの携帯にね」
 そうしたとだ。希望は真人に話した。彼の教室まで来てそうしたのだ。
「それで返事が返って来たけれど」
「何と言ってますか?」
「今日よかったらね」
 どうかというのだ。今日だ。
「千春ちゃんの家に来て欲しいってね」
「そう返信が来たんですか」
「それで話したいっていうけれど」
「風邪でしょうか」
 それではないかとだ。真人は自分の席の前に椅子を借りて座る希望に話した。
「それであの人は今日は」
「お休みじゃないかっていうんだね」
「そうではないでしょうか」
「まあそうだろうね」
 希望もだ。実際のところそう考えていた。それでこう言ったのだった。
「だから今日は学校に来ていないと思うよ」
「そうでしょうね」
「そうだね。じゃあ今日はお見舞いにね」
「あの人のお家に行かれるんですね」
「そうするよ。じゃあ」
「それじゃあ?」
「お見舞いに何か買って行かないとね」 
 そうしなければいけないとだ。希望は真人に話した。
「やっぱりね」
「そうですね。それがいいですね」
「友井君もそう思うよね」
「はい。遠井君は僕が怪我した時いつも来てくれましたよね」
「うん、友井君は友達だからね」
 だからだとだ。希望は彼に素直に答えた。
「当然のことだから」
「そう思われるのなら」
「千春ちゃんに対してもだね」
「はい、そうされるべきです」
 真人は穏やかな笑顔で希望に答える。
「是非共」
「わかったよ。それじゃあね」
「お見舞いの品は何にされますか?」
「ううん、何がいいかな」
 希望は早速だった。具体的に何がいいのか考えだした。
 真人の前で腕を組みだ。こう言うのだった。
「お菓子かな」
「そうですね。お菓子なら」
「どういったものがいいかな」
「山月堂のお菓子はどうでしょうか」
 真人がアドバイスしたの
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