相反する信条
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えは。
「ふざけるな」
否定。
そうして響を睨む彼の赤い眼差しは、隠しようがない怒りが滲み出ていた。
「ムーそのものなど、所詮はただの遺物だ。あんなものが消えようとも、オレは何も感じない……」
「え?」
「だが……キサマがムーを滅ぼしたという事実は変わらない」
「……!」
「キサマを倒さない限り、オレはムーの誇りを取り戻せない……」
響へのソロの視線が、さらに刺々しくなる。
響が、ソロへ身構えるよりも先に。
「だが」
ソロが、その一言により響への視線が無くなる。
それは、真っ直ぐ美炎へ注がれていく。
「今は、ムーのことなどどうでもいい」
ソロはそう言いながら、腰からスターキャリアーを取り出す。それが昼の明かりに触れると同時に、その画面より影の怪物、ラプラスが姿を現した。
「今オレが用があるのは、ランサー、キサマではない。お前だ。セイバーのマスター」
ラプラスは即、剣の姿となり、その腕に収まった。
「あの荒魂を渡せ」
ソロは、その刃を美炎へ向けた。
「荒魂?」
その言葉に響は首を傾げる。
「荒魂……コヒメのこと? 何で? どうしてコヒメを狙うの?」
「キサマに教える義理はない」
「絶対……いやだよ!」
美炎は強く言い放った。
「コヒメは、わたしたちにとって大事な友達だから! コヒメじゃなくて、ただの荒魂としか見てない人に渡せない!」
「……フン」
美炎の返答に、ソロは鼻を鳴らす。
「所詮、群れるだけの弱者だな……」
「え?」
「この聖杯戦争に……馴れ合いはいらない……!」
「「聖杯戦争って……」」
美炎と響の声が重なる。
互いに顔を見合わせ。
「やっぱり……」
「もしかして……」
ランサーと呼ばれた響。
そして、美炎がこれまで会って来た、クラス名 セイバー、ライダー、セイヴァー。
こんな短期間に、そんな似た語感の呼び名に遭遇するだろうが。
自然と美炎は響を、そして響もまた美炎へ尋ねた。
「「響ちゃん」「美炎ちゃん」、参加者!?」」
参加者。
その三文字だけで、すぐに嫌な四文字までつながった。
だが、これ以上確認する時間はない。
「……」
ラプラスの声が、彼の刃から聞こえてくる。
それは、美炎たちへ戦いを求める声だった。
美炎は生唾を飲み込み、笛袋から赤い鞘を取り出す。
御刀、加州清光が、その欠けた刃を日陰の中を照らした。
「何か……ちょっとだけ安心した」
美炎はほほ笑みながら言った。
「何?」
「あたし、聖杯戦争の話を聞いてさ。参加者も、人が巻き込まれることを気にしないことが多いのかなって思
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