第四十二話 夢想
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計算終了、救難信号発信済みです」
「了解した…しかし変わった敵も居たものだな、航海長」
「はい。それと艦長、敵に渡した機密情報はダミーですのでご心配はいりません」
「…はは、命の恩人を騙したのか。まあこちらも乗艦を破壊されたのだ、あいこと言うべきだろうな」
変わった敵…俺らしいだと?
ヤマト・ウィンチェスター中佐…あいつは一体…。
9月18日19:40 イゼルローン前哨宙域、自由惑星同盟軍、EFSF第二〇一哨戒隊、戦艦アイオワ
ヤマト・ウィンチェスター
「敵艦艇群、イゼルローン回廊に向かう模様」
「センサーの範囲外に出るまで警戒を怠らないように」
「了解しました…隊司令、帝国人にお知り合いでも?」
「何故です?」
「いえ、小官との通信がずっとオンになったままでしたから…ミューゼル中尉とやらと話し込んでおいでだった」
「ああ…ミューゼル中尉は皇帝の寵姫の弟なのですよ。情報部が公表している帝国軍の情報に、中尉の名前が有ったのを思い出しましてね、どういう人物か話して見たかったのです…でもまさか本人に会うとは思ってませんでしたが」
「重要人物なのですか?」
「公開されている所をみると、じょ重要視していないと思います。ですが、我々からすれば普段絶対見る事の出来ない、銀河帝国の皇帝に近い人物である事には間違いありません」
「でも情報部はそうは思っていない…」
「年齢から見て、幼年学校を卒業したばかりです。階級も低いし、寵姫の弟だからといって軍内部で重要なポストに近い訳でもない。まあ、重要な人間であればこんな最前線にいる訳がありません」
「でも亡命を…と仰っていたじゃないですか」
「単なる思いつき、ですよ」
「思いつきですか」
「はい。重要人物ではないとはいえ、皇帝の寵姫の弟が亡命したら、どうなるのかな、と思いましてね。我々で言えば…最高評議会議長の身内がいきなり帝国に亡命する様な物ですからね」
「それは…確かに大騒ぎになりますな」
「でしょ?帝国がどう反応するかで何か見えてくるのではないかと思ったのです」
「それに中佐の功績も大きな物となるでしょうな。あちらさんから見れば、我々は共和主義を僭称する不逞な叛徒共ですからな。それが皇帝の寵姫の弟を降したとなれば、怒り心頭でしょう。自由戦士勲章ものだ。ミラクル・ヤンを抜いて、隊司令が同盟最年少の大佐になる事でしょう。いやはや、惜しい事をしたもんだ、ははは」
「ああ、そこはどうでもいいんですけどね、はは」
覚悟が足りなかったんだ。この銀英伝の世界を終わらせる覚悟が。同盟人からは将来誹謗中傷の的になるかもしれないな…でも、俺は…。
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