始まりから夏休みまで
燃える生贄人形と戦う話
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「そらっ!!」
大筆からの一撃。
大波の飛沫を体全体に浴び、ウィッカーマンは大きく仰け反った。
「お!お前あんときの絵描きじゃねーか!」
「よう。虫の知らせならぬ風の知らせを聞いてすっ飛んできたとこサ。」
仰け反り、そのままウィッカーマンは後ろに倒れ地面を響かせる。
近くにすたっと着地したのは北斎。葛城舞のサーヴァント、葛飾北斎だった。
「で、どういう状況だいこりゃ?」
「見ての通りだよ北斎。」
辺りを見回すも、てんで分からない。
この大きな炎の巨人も、そしてキルケーや森長可が協力して戦ってるのも。
なにより、
「お栄…ちゃん!」
「!?…マイ!そいつはなんだ!?」
自分のマスターが背中を大怪我し、さらには顔を怪我しているではないか。
自分のマスターの顔はまさに宝。そんなものを傷つけた輩はどこのどいつか知りたいが…。
「聞きたいことはあるが、まずはその前に…。」
振り向くと、ウィッカーマンは起き上がり、北斎に襲いかかろうとしている。
舞の大火傷はどう見たってこいつの仕業。
そう、まずはこいつを倒すことが先決だ。
「どこの誰だか知らねぇが、このおっかねぇ火だるまを倒せばいいんだナ?」
「ああその通りだ!キミの宝具でならそいつの火は消せるはず!私達ではそいつにロクに手を出せなくて困っていたところだよ!!」
「ホウ…そうかい。」
怒りがふつふつと込み上げてくる。
まさにこのウィッカーマンのように、怒りの感情がごうごうと燃え盛ってきた。
「お前さんかい?おれのマイをあんな風にした奴は。」
「…」
「喋らねぇってんなら…そういう事だな?」
ウィッカーマンはさらに燃え盛る。
その手を伸ばし、北斎を自らの胴の中にしまいこもうと襲いかかる。
北斎はそれを跳躍してかわし、宙に舞うと大きく回転し、全体重をかけた一撃をおみまいした。
「よし!効いてるぞ!!」
腕の火が鎮火し、ボロボロと崩れ落ちる。
再び再生し、火に包まれるが北斎の攻撃は明らかに効いていた。
そうして舞は、朦朧とした意識の中かろうじて立ち上がり、己のサーヴァントの戦う姿を見守る。
マスターとしての役目だ。
ここで意識を失うなんてあってはならない。
せめて、この戦いの行く末を見届ける義務がある。
「大丈夫。お栄ちゃんなら…お栄ちゃんなら絶対に勝つよ。」
令呪の刻まれた右手を握りしめ、彼はただそう呟いた。
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