始まりから夏休みまで
燃える生贄人形と戦う話
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てしまうのだ。
「だめだ!あちぃ!おい魔法使い!!なんとかならねぇのか!?」
「今やってる!!」
まともに近付けず、武器を震えば炎のカウンターがやってくる。
こちらも手を出せないでいた森長可はキルケーに救援を求めるが、どうしようもできない。
「ああ無理だ!どの魔術でも奴の身体にはダメージが与えられない!!」
「マジかよ!そりゃやべぇなぁ!!」
笑っているが笑い事ではない。
「!!」
ウィッカーマンは完全に周りのことなど気にせず、真っ直ぐ舞達に向かっている。
しかし歩くだけだったその巨人は今
「まずい!避けろ!!」
攻撃を始めた。
腕を振るうとそこからいくつもの火の玉が放物線を描いて放たれる。
そこら中に落ち、文字通り辺り一帯を火の海に変えたのだ。
そう、追いかけているだけではない。
「どうしよう…このままじゃ…!」
彼らの逃げ道を塞いだのだ。
「こんちゃん…少年…私はいいって」
「そんなこと言わないでください!!やっと会えたのに…また会えなくなるのは嫌なんです!!」
自分が足を引っ張っている。
そう思った田所先輩は自分を捨てて逃げろと言うが、二人はまずそんな事は許さない。
「お前…何かないのか!」
「何かって何も…!」
火によって行く手を塞がれてしまい、このままではウィッカーマンに追いつかれる。
横の道も、無論火の海。
ならここは無茶して強引に火に飛び込むかと思ったその時、
「…!!」
彼はこちらに飛来する火の玉に気付いた。
「危ないっ!!」
先輩と近野を押しのけ、自分が無理矢理前に出る。
「うぅっ!あああっ!!!!」
直後、背中に感じる熱いもの。
ジュウジュウと焼ける音。人間のやける匂い、そし想像を絶する痛みが舞の背中を襲った。
「少年!!」
「…!」
叫ぶ田所先輩。
絶句する近野。
2人を庇った舞はそのままガクリと膝を着いた。
「葛城ィ!!!!」
遠くからは友達の友作と暮馬の声。
大火傷を通り越し、彼の背中は焼けただれ骨が覗いていた。
「せん…ぱい…。」
「何してるんだ少年!!だから私なんて置いてさっさと逃げろって…!!」
「…。」
そんな状態の舞に、近野が有り得ないものでも見るかのような目で見下ろす。
「お前…なんでそこまで…。」
「決まってる…でしょ…。」
ぜえぜえと荒い呼吸をしながら、彼はたどたどしくも庇った理由を話す。
「僕も…先輩が大事だから…君と、同じ…ように…!」
「…!」
この男は、ただ先輩に擦り寄る害虫、下心しかない汚い男ではない。
彼は、本当に大事だと思って守った。
でなければ、ここまで大怪我をして庇うはずがない
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