始まりから夏休みまで
燃える生贄人形と戦う話
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「なんだ…こいつ…。」
僕たちの目の前に現れた、巨大な木の人形。
ウィッカーマン。
空洞の胴体に人や家畜を入れ、神様のための生贄として共に燃やす人形って聞いたことはあるし、何よりキャスターよクー・フーリンの宝具だ。
10メートルは超えるだろうそれは木の身体をきしませ、まるでこちらを見下ろすかのように身をかがめる。
そして次の瞬間。
「来るぞ!!」
ウィッカーマンが片腕を振り上げる。
同時に点火。炎に覆われた巨大な腕が地面に叩き付けられた。
僕達はなんとか避けられたが…そういえば先輩は?
「「先輩!!」」
僕、そして近野さんが先輩と叫ぶのはほぼ同時だった。
先輩がいたのはずっと向こう。
無事…ではなさそうだ。
「先輩!!しっかりしてくだ」
「どけ!!」
倒れた先輩に駆け寄るが、同じく走り出した近野さんに突き飛ばされ、僕は転ぶ。
「先輩!!大丈夫ですか!?」
「ちょっと…やばいかな?足挟んじゃって…。」
「!!」
顔を顰めている先輩。
確かに、片足が瓦礫に挟まれ動けないでいた。
「今助けます!!」
運動部に所属していたとはいえ、近野さん1人では先輩の足を押し潰している巨大な瓦礫をどかすのには到底無理だった。
どれだけ力んでも、瓦礫はビクともしない。
「この…っ!」
「僕もやるよ!!」
「お前はいい!!どっか行ってろ!!」
僕も手伝おうとはするが、案の定怒鳴られ追い払われそうになる。
でも、今はそんなの関係ない。
「君と同じだ!!」
「…は?」
「君と同じで、僕だって先輩にはたくさんお世話になったんだ!!嫌な時も!辞めたくなった時も!いつも先輩が助けてくれた!!そんな恩人を見捨てるなんて僕には出来ないから!!」
「…。」
瓦礫の名から鉄筋を見つけ、それを間に差し込んでてこの原理でどかそうとする。
「お前…。」
「葛城!!逃げろ!!」
必死でどかそうするも、やっぱり非力な僕ではどうにもならない。
そして背後から聞こえた暮馬くんの叫び声。
振り向けばそこには、ズン、と思い足音を立てて接近するウィッカーマンが。
「…!!」
でも、そんなこと知らない。
一刻も早くこの瓦礫を退かすんだ。
「少年!もういい!!私なんかにかまわなくていいんだ!!」
「いえ…ダメです!!」
振り上げられる腕。
でもここで先輩言う通りにするわけにはいかない。
そのときだ。
「うらぁ!!」
ウィッカーマンの剛腕は、僕達に届く少し前で停止した。
「…!!」
「ったく心配したんだぜマスター!何も言わずにどっか行くもんだからよ!!」
止まったんじゃない。受け止めたんだ。
その燃え盛る腕を槍で受け止め
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