第二十話 災いの雷その六
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二人は今度はその川の生き物のコーナーに行くことになった。その途中にもだ。
色々な生き物達を見た。それで千春はこう希望に言った。
「ラッコもアザラシもスナメリもね」
「好きなんだ」
「ヌートリアもね」
そうしたあらゆる生き物達が好きだというのだ。
「凄くね。皆大好きだよ」
「千春ちゃんって生き物好きなんだ」
「うん。希望もだよね」
「僕も。そうだね」
丁度海亀のところを通った。今二人は亀のコーナーにいる。海亀の水槽の向かい側には普通の亀達がいる。何百匹の亀達が大きな水のあるガラスのコーナーの中にいる。
その亀達を見ながらだ。希望は言うのだった。
「言ったと思うけれどね」
「動物って素直だからだよね」
「好きなんだ。裏切ったりしないから」
だからだというのだ。
「昔から好きだよ」
「そうだったよね。希望って動物見る時も温かい目だから」
「そうした目になってるかな」
「凄くね。じゃあね」
「それじゃあ?」
「川の生き物のところでもその顔だよね」
希望のその優しい笑顔を見ての言葉だ。
「そうだよね」
「そうだよ。多分だけれどね」
「じゃあその顔でね」
「行こうね」
こう話してだった。そのうえで。
二人で川のコーナーに入った。それでだ。
川魚や蟹にザリガニ達を見た。それは普段見るものだった。
だがここで見るとだ。どうかというのだ。
「ささやかな感じだけれど」
「それがいいっていうのね」
「うん。そう思うよ」
希望は水槽の中、壁の中に入れられているそのザリガニ達を見ながら話す。
「可愛いよね」
「そうだよね。可愛いよね」
「僕昔ザリガニ飼ってたんだ」
「このザリガニ?」
「うん、そうしてたんだ」
今ザリガニは水槽の中で静かにしている。これといって動くことはしていない。
そしてそのザリガニを見ながらだ。希望は千春に言っていく。
「飼いやすいしいい生き物だよ」
「丈夫だしね」
「そうそう。凄い丈夫なんだよ」
ザリガニの生命力はかなりのものだ。どんな環境でも生きられる。
「けれど粗末にはしなかったよ」
「大事に育ててたの」
「そうしてたよ」
そのことをだ。希望は千春に話した。
「最後までね」
「凄いね」
「凄いかな」
「だって。ザリガニが死ぬまで面倒を見たのよね」
「当然だと思うけれど」
「それができる人って少ないよ」
千春はこう話すのだった。
「実際のところはね」
「そういうものかな」
「それにいじめなかったよね。ザリガニさん」
「そんなことしないよ」
絶対にだとだ。希望はこのことは強く答えた。
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