第二章:空に手を伸ばすこと その参
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それを自然な様子で受け入れた曹操は言葉を続ける。
「では仁ノ助、あなたには春蘭の部隊に一時的に入ってもらいます。その後の活躍次第では隊を率いさせることもやぶさかではないわ」
「ご期待に必ずやお応えしましょう。してそのお方とはこちらの・・・?」
仁ノ助がちらりと黒髪の女性に目をやって問う。それに答えるように女性が胸を張り、誇り高く答える。
「私こそが曹孟徳一の猛者、夏候元譲だ!」
「姉者が度々迷惑をかけてすまない。私は夏候妙才という」
曹操の隣に立つ黒髪は夏候惇、隣の水髪は夏候淵なのか、随分仲が良さそうな姉妹だ。最早驚きを表さない仁ノ助は二人に向かい敬意を表す礼をする。先程まであちらは怒ってはいたが、今からは時によっては背中を預けることとなる。信用がならないといえども表面上は納得する度量があるらしい。
しかし反対側に立つ軍師はそうではないようだ。二人が名乗ったのにも拘らず口を噤んで沈黙を保ち、まだ睨みを利かせている。だが自分だけ名乗らないというのもまた無礼と思ったのか、酷く不機嫌な声で本当に不承不承という風に言った。
「・・・・・・荀文若よ」
王佐の才はもう話すことは無いとそっぽを向く。
これで全員が名乗ったことになる、一人は未だに気を失っているが。
「ではそろそろ進軍再開といきましょう。潁川まで気を緩める事を無いようにせよ!」
「「「「はっ!!」」」」
四人はそれを聞いてすぐさま行動に移った。夏候惇の後を追うように仁ノ助と夏候淵が続いて本陣を出る。
荀ケは全軍に出立の命令を出すために遅れて本陣を出た。
そして本陣内には悠然と佇む曹操と、未だに気を失って口から泡を吹いている詩花が残された。
「・・・・・・えっ。これ、私が面倒見るの?」
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