第二章:空に手を伸ばすこと その参
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中郎将の皇甫嵩・右中郎将の朱儁の連合軍の援軍として潁川に向かっているところよ」
黄巾賊が主に集結している地点は曹操が向かっている潁川と冀州である。史実において皇甫嵩と朱儁の連合軍が乱の序盤に辛酸を舐めていることから、敵はかなりの数をもち、または中々に頭が切れる将軍が居るらしい。事実その通りで黄巾側の将軍は波才といい、朱儁の軍隊を数の暴力で敗走に陥れた後に皇甫嵩が立て篭もる長社を包囲するに至っている。ただ仁ノ助は曹操が女であるこの世界に対して認識を改めており、必ずしも史実通りに事が運ぶとは限らないとして、波才以外の人間が軍を指揮していることもありうると考えていた。
其れは兎も角として、この軍が潁川の波才率いる賊軍を破ることを目的として行軍しているのは、曹操が今語ったとおりだ。途中途中に現る賊軍の一派を討ちながら行軍しているのかもしれない。
曹操はさらに言葉を続ける。
「軍の進軍経路を確認していきながら進軍していると、予め放っていた細作から報告があったのよ。『前方にて賊軍と何者かの抗争あり』と」
あの時の戦闘を思い浮かべる。細作は見通しが良い所から此方を発見したのであろう。自分達はそれに意識を向けるほど余裕が無かったわけだ。というより、ここで曹操軍と邂逅することが彼にとって予想外だったのだが。
「それで騎兵隊を先発隊として、賊軍を奇襲しその落ち伸び先を突きとめよと命令させたら、あなたたちを見つけたの」
「・・・・・・ご説明ありがとうございます。しかし敢えて申し上げますが。私達を保護したらそのまま解放して、行軍を再開するのが普通ではないでしょうか?」
彼の疑問を溶かすように曹操が口を吊り上げて応える。
「数十人の賊に僅か二人で拮抗せしめたのよ?これは中々の武芸者でなければ出来ないことだわ」
良い獲物が手に入ったとばかりに曹操の目に若干の光が見える。挑発的でいてそれでいて淫靡に見える目が、だからこそ危険に感じてしまう。世界が違えど曹孟徳という人物に違いはないと彼は確信する。
「天下を歩む我が軍は兵の数は多けれど、それを指揮する強者が少ない。乱の前も荀ケのように傑出した人物を掘り起こしているけど、それでも少ない」
「・・・・・・」
やはりというかなんというか、猫の耳を模した服を被っている少女は荀ケであるらしい。曹操に褒められていると感じて頬を赤く染めている。それに捉われることなく、彼には次に曹操が話す句がなんであるか、大体わかってきた。
その彼の予想を当てるように曹操が事の答えを言った。
「喜びなさい。あなた達の武を見込んで、我が軍の客将として扱ってあげるわ」
「なっ、この変態共をですか!?」
無視を決め込んでいた荀ケが大きな驚愕を浮かべて曹操に言う。汚い吐瀉物のように蔑ん
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