第二章:空に手を伸ばすこと その参
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ことができない。
「あんた、華琳さまのお言葉に答えないなんて無礼が過ぎるんじゃないの!?」
甲高い声で非難されて仁ノ助は、はっと意識を取り戻した。慌てて声のした方へ視線を向けると、この軍の軍師であろう猫耳フードを被った女性がこちらを視線で殺すように睨んでいる。
「自分より高位の者の問いに答えぬ程の阿呆なの、貴方!?最低限の礼儀くらい弁えなさいよ、全身性液人間!!!!」
下種が吐いた吐瀉物を見るように吐き出される、想像を絶するえげつのない言葉に心が大きく傷つく。この軍師はその可愛らしい外見とは全く異なる物を内心に持っているようだ。
だがそんなことに気をとられていると本当に無礼が過ぎてしまう。これはまずいと焦って言葉を出そうとするが、視線の端でわなわなと震える人影を見て視線だけを送り、そしてその正体が詩花であることに気付くと彼はこの世の終わりを垣間見たような表情をした。
なにかマズイがイヤな予感がする、こいつが惹起する結果で俺達の処刑もあり得るかもしれない。
そう思った彼は曹操に向けて言葉を発するよりも詩花の怪しげな震えを止めることを選び、急いで彼女の肩を掴んで意識を取り戻させようとする。
しかし彼女の方が彼より一瞬早く動き、肩を掴まれる前に神速の如き速さ猫耳軍師の方へと駆け寄り、息をはぁはぁと荒げて熱っぽい視線で彼女に言い寄る。
「かわいいいいい!!!!!なにこの娘!?!?持ち帰って愛でていい!?いいわよね!!!」
「ちょ、ちょっとあんたなにするの!?!?こんのぉぉおおお、離しなさああああい!!!!!」
戟を握るときよりもさらに強くなる握力で軍師の両肩を握った彼女は、可愛い可愛いと叫びながら興奮の息をさらに荒げ、彼女の顔に自分の顔を近づける。軍師は顔を青褪めた表情で自分に近寄る彼女に抵抗するために、彼女の顔と胸に手をやって非力な腕力で押し返そうとする。鼻に指を突っ込まれてさらに間抜けな姿を晒すこととなっても、詩花は猫耳軍師に興奮し続けている。
「はぁはぁ、可愛いよ君ぃぃ!!!はぁはぁ・・・食べていいわよねええ!?」
「やめてええええええ!!!!助けてください華琳さまぁぁああああ!!!!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
目の前で行われる変態的な女性の醜態と哀れな軍師の抵抗を見て、両者の主の立場をもつ二人は唖然としてその成り行きを見ている。軍師の抵抗が強くなって悲鳴がさらに高まり詩花の興奮もつられて高くなっている。
その時、本陣の外から馬の嘶きが聞こえてきて、次いで猛牛のように女性が勢いよく本陣の中に入ってきた。その者とは、自分達を助けてくれた騎兵隊の指揮官だった黒髪の女性だった。それの後に続くように水色の髪をした女性が後に続いて入っていく。
「華琳さま!!!!
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