第17節「欧州からの学士」
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?」
「解説。君のいた地点からその真下へ、トンネルを形成。真っ逆さまに落ちてきた君を、空気のクッションで受け止め、穴を塞いだというわけさ」
「一瞬で作ったトンネルに、空気のクッション?そんなのどうやって……」
「開示。実は私も錬金術師でね、物質の構造転換はお手の物なのさ」
「ぶふぅッ!?…………は?」
思わず口に含んだ水を勢いよく吹き出してしまった。
今、サラッととんでもない事言ったぞこの人!?
「深謝。君達に戦いを挑んできたキャロルは、私の弟子でね。教え子が迷惑をかけてしまって、本当にすまない……」
「キャロルの師匠で錬金術師……そんな人がどうして……!?」
頭を下げるグリムさんの顔は、とても申し訳なさそうだった。
聞きたい事が山ほど浮かんだけど、それが一旦引っ込むくらいに、憂いに満ちた目をしている。
「解説。順を追って話そう。君も気になっているはずだ。何故、キャロルがこんな事をしているのか……」
「それは……」
キャロルが俺達と戦う理由……。
初めて遭遇したあの火災で、キャロルはそれを『父親に託された命題』だと云った。
その言葉の意味を、彼女が何を抱えているのかを、俺たちは何も知らない。
知らなければならない。何を企んでいるかは知らないが、彼女の目論見を止めるために。
そして、響が望んでいたように、彼女にも伸ばせる手があるのかを模索するために……。
「当然です。彼女の理由を知らないと、手を伸ばす事は出来ないから……」
「了承。途中、聞きたい事があったら、何でも聞いてくれてかまわない」
「分かりました……」
そしてベッド脇に置かれていた椅子に腰掛けると、グリムさんは静かに語り始めた。
ff
300年前、欧州のとある田舎村。
その村にある一軒の家に、少女は住んでいた。
少女の生まれは、ごくごく普通の一般家庭だった。
だが、彼女の家の様子は、この時代の一般家庭とは少しだけ違っていた。
部屋の中には、フラスコやビーカーなどといった実験器具が並んだ作業机が置かれている。
床には鉱石や薬草、分厚い書物が散らかっており、チョークで書かれた複雑なベンゼン環と構造式が拡がっていた。
彼女の父親は、いわゆる錬金術師だったのだ。
とはいっても彼が錬金術を学んでいた理由は、卑金属から黄金を生み出そう、というような俗物的なものではない。
錬金術師としての腕は特出して秀でていたわけではなかったものの、イザークは主に薬学の知識に通じており、その知識を人助けのために役立てるお人好しな性格だった。
深山にて採取され、”仙草“とも称される薬草「アルニム」を使った治療で流行病に苦しむ村人を多く救うなど、町医者の真似事のような事をしては、村人達からはささやかに感謝
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