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八条学園騒動記
第六百四十一話 餓鬼道その五

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「これも自分のことだな、そういうものばかりだからだ」
「小悪党は悪事をしても醜いか」
「自分だけのことだからな、だが大物は」
 そうした者はというと。
「悪事も自分の論理があり目的がある」
「私利私欲だけでないか」
「例えば自分の理想の国を作るなりな」
「大きな目的があるか」
「その為に動いているからな」
 だからだというのだ。
「醜くもない」
「そういうものか」
「そうだ、大物の悪事はとんでもないことになるが」
 それでもというのだ。
「筋があってな」
「それが納得出来るものでなくてもか」
「美学や哲学があってな」
「納得出来るか」
「そうしたものだ、だが」
「ああした奴の悪事はか」
「小さくてな」
 そしてというのだ。
「自分だけのことでな」
「悪意もあってか」
「醜い、だから嫌われる」
「吐き気を催す邪悪にもか」
「なりやすい」
「あいつはそうか」
 見れば何処かに行こうとしている、その間も多くの者が彼を嫌悪に満ちた目で見て話し掛けることも近寄ることもしない。顔も向けない。
 その顔すら向けず嫌悪の目だけを見ているのを見てフランツはまた言った。
「確かにああなるとな」
「終わりだな」
「ああはなりたくない」
 こうタムタムに話した。
「俺もな」
「俺もだ」
 タムタムも同意だった。
「ああはな」
「なりたくないな」
「徹底的に性格が悪いとな」
「ああなってか」
「将来もな」
「チンピラかタブロイドの記者か、か」
「学校の先生にしかなれない」
 そうなるというのだ。
「他の世界では務まらない」
「まともな職業の世界だとか」
「あまりにも屑で周りから嫌われ」
 そうなってというのだ。
「誰からも付き合われなくてな」
「やっていけないか」
「そうなる」
 まさにというのだ。
「まともな世界ではな」
「屑しかいない世界でないと駄目か」
「あそこまでの屑はもう戻らない」
「真っ当にはか」
「生まれた時は真っ白でもな」
 サルトルの言うタブラ=ラサの状態でもろいうのだ。
「濁りに濁ってな」
「どうしようもなくなるとか」
「ドドメ色に染まって白く戻れるか」
「かなり難しいな」
「そしてそれがどんどん濁っていく」
 ドドメ色にというのだ。
「それならだ」
「戻れないか」
「悪くなるだけだ」
 その性格と行いがというのだ。
「だからな」
「普通の世界では生きていけないか」
「屑も屑の中では生きていける」
 それが可能だというのだ。
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