第六百四十一話 餓鬼道その二
[8]前話 [2]次話
「出したものの臭さと汚さがな」
「やはりそうだな」
「しかしな」
「それでもか」
「そうしたものしかだ」
まさにというのだ。
「本当にな」
「食えないか」
「そうなのだ」
「それが餓鬼か」
「食えないかな」
若しくはというのだ。
「そうしたものしかだ」
「食えないか」
「そうした苦しむをずっと味わう」
一万五千年の間というのだ。
「それが餓鬼ということだ」
「死ぬより辛いな」
フランヅが見てもだった。
「仏教の話を聞くと地獄も辛いが」
「餓鬼もだな」
「餓鬼の方が辛いか」
「だから地獄より下ではという意見もある」
そうしたものもあるというのだ。
「実際にな」
「底まで辛いということだな」
「なるとな、そしてさっき話した奴みたいな考えの奴もいる」
「布施餓鬼なんかしない、か」
「あまりにも浅ましい奴がなるんだ」
その餓鬼にというのだ、尚仏教では餓鬼は他の人に何も与えず自分だけ食べたりいい思いをした者がなると具体的に言われている。だがそれは要するに浅ましさと卑しさを極めた輩がなるということだという解釈だ。
「そしてそうした奴をその目で見てな」
「嫌うとか」
「もうな」
「布施餓鬼なんかするかとなるか」
「さっきの奴みたいにな」
忌々し気に言った彼の様にというのだ。
「そうなる」
「そして救いも得られないでか」
「余計に苦しむ、布施餓鬼があるとな」
それならというのだ。
「幾分でも苦しみが和らぐらしい」
「そうなるか」
「だから慈悲があるとな」
その心がというのだ。
「布施餓鬼をするらしいが」
「嫌いな奴がなると思うとか」
「それもだ」
「しないか」
「嫌悪や憎悪や時として慈悲を上回る」
マイナスの感情がプラスの感情をというのだ。
「そしてだ」
「そうした行いになるか」
「よくはない」
タムタムはそうしたことを否定した。
「いい筈がない」
「人間嫌ったり憎んだりすること自体がな」
「悪いことだ、だが」
「それでもだな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「それも人間だ」
「嫌って憎しむこともだな」
「そしてあいつは確かにな」
その嫌われている輩のそれもした。
「そこまで嫌われて憎まれる奴だ」
「そうなるか」
「人間としてあまりにも性根が腐っていて卑しい」
そうした輩だからだというのだ。
「将来はならず者かタブロイド紙の記者だ」
「どっちも同じだな」
「そうだな」
「タブロイドの記者なんてな」
フランツは眉を顰めさせて述べた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ