第六十七話 春休みが終わってその十七
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「うちの家内が案内してくれるからね」
「そうしてくれるんですか、悪いですね」
「悪くないよ、これから四年間ここに住むんだからね」
「だからですか」
「うん、そこに荷物を持って入って」
「それからですね」
「四年間宜しくね」
「こちらこそ」
私は白石さんに頭を下げて言いました、そして。
白石さんは新一君に笑ってこんなことを言いました。
「阿波野君は絶対に三階に入らないからね」
「だってそこは女の人のところですよ」
だからだという返事でした。
「もう絶対にです」
「阿波野君はそうだね」
「はい、絶対に入りません」
白石さんに真面目に言いました。
「何があっても」
「じゃあ千里ちゃんのお部屋にもだね」
「そうします」
「そうだね、ただ二階は男の人の階でね」
奥華の詰所は七階建ての母屋です、そして道路を挟んだ方には別館があってそこに白石さんや大教会長さんの弟さんがご家族と共に暮らされています。
「三階は男の人は入られないから」
「荷物は三階の入り口まで持って行きますね」
「そうしてくれるね」
「はい、絶対に入らないですから」
新一君は白石さんに約束しました。
「何があっても」
「そういえば新一君ってそういうこと守るわね」
私は今このことに気付きました。
「そうよね」
「女の人に対してですね」
「紳士的なことはね」
「そうありたいと思っていますから」
それでというのです。
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