第三十一話 男の子の食べものその七
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「最早ね」
「あの国に生まれたら大変ね」
咲はここでこう言った。
「それこそ」
「餓えていてちょっとしたことで粛清か収容所だよ」
彼も答えた。
「あそこは」
「階級が下なら餓えていて」
「いつもね、勿論水道とかもね」
「まともに出なくて」
「首都でもシャワーは」
平壌でもというのだ。
「お湯が出ないことが普通らしいよ」
「日本じゃ考えられないわね」
「勿論冷房も暖房も」
「なしよね」
「ほぼね、食べものがないから」
それならというのだ。
「他のこともね」
「行き届いていないのね」
「電気だって」
これもというのだ。
「夜宇宙から夜景見たら凄いよ」
「人工衛星で」
「そうしたらね」
それでというのだ。
「あそこだけ灯りがないんだよ」
「他の国はあるのね」
「そうだよ、そんな風だから」
「大変なのね」
「そう、そして階級が上でも」
「粛清ね」
「ちょっとしたことで」
もっと言えば将軍様の気分次第でというのだ、彼は咲に対して北朝鮮という国のどうにもならない事情をさらに話していった。
「なるから。それも自分だけじゃなくて」
「家族も含めて」
「一族郎党がね」
「連座ね」
「日本でも犯罪者の家族って白い目で見られるけれど」
そうした現実はあるがというのだ。
「けれどね」
「それでもよね」
「流石に連座はね」
「ないからね、今時」
「江戸時代のことだよ」
「けれど北朝鮮だと」
「そうした状況だから」
だからだというのだ。
「無茶苦茶だよ、それでこんな和菓子も」
「ないのね」
「甘いものもね」
「食べものがないなら」
「尚更だよ、本当にあの国は問題外だよ」
「甘いものについても」
「将軍様だけ食べられるよ」
独裁者だけだというのだ。
「好きなだけね」
「国民餓えているのね」
「それでもね、けれど日本だと」
「私達も食べられるわね」
「こうしてね、だから」
それでというのだ。
「よっぽどいいよ、もう全部売れたけれど他にもお菓子色々あるから」
「お店に行って」
「よかったら食べてね」
「それじゃあね」
咲も頷いた、そうしてだった。
咲は柏餅もちまきも食べ終えて笑顔になった、そして女子のクラスメイト達と話した。
「美味しかったわね」
「ええ、かなりね」
「上品な甘さっていうかね」
「美味しかったわね」
「ちょっと上等なお茶が欲しくなる様な」
「そうした美味しさだったわね」
「残念ながらお茶はなかったけれど」
それでもとだ、咲は話した。
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