引ったくり犯
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名前だっけ?」
「八岐大蛇。頭が八つあるでしょ? 八つの又に分かれているから、八岐大蛇何だよ」
「な、なるほど……」
清香の説明に納得しながら、美炎はふと思いつく。自らの左手を出し、その指を数えた。
「ひい、ふう、みい……あれ?」
「どうしたのほのちゃん」
「おかしいよ。頭が八つなら、又は七つだよ? 七又大蛇と言うべきじゃない?」
「む、昔からきっとヤマタと決まってるんだよ!」
「何で? 何でそんなややこしい名前になってるの?」
「し、知らないよ!」
清香の顔に、「ほのちゃん何でこういう時に鋭いの?」と書いてあった。
「でも、蛇かあ……こんなに大っきな蛇がいたら、もう大騒ぎだろうな」
美炎は、コヒメが夢中になっている蛇のイラストを見ながら言った。
八つの蛇の頭が、白い礼装を纏った巫覡を食らいつこうとしている。
「うわあ……この服、かっこいいな……」
最初は蛇を見ていたはずなのに、いつの間にか男の服に目移りしていた。
「みほの、これ好きなの?」
コヒメが巫覡の服を指差す。
巫覡の服装。
白い和服をモチーフにしたものだが、神社育ちの美炎の目には、なぜかとても特殊なものに思えた。
「好きって言うか、なんか目が離せないかな」
「美炎ちゃん……まさか、この巫覡さんに恋!?」
「そんなんじゃないよ。そもそもわたし、このお話知らないし」
美炎は両腕を振った。
そんな美炎の反応をしり目に、コヒメは頭を抑える。
「このお話……多分、本当にあったんだと思うよ」
「え?」
美炎と清香の目が点になる。
コヒメは続けた。
「この、主人公のスサノオって人は分からないけど……多分、この八岐大蛇って、大荒魂の一つだと思う」
「え!?」
そのカミングアウトに、美炎と清香は顔を見合わせる。
大荒魂。
刀使が古来より戦い続けてきた異形、荒魂。その中でも、特に強大な力を持つもののことを示す。
それは、可奈美が聖杯戦争に関わることとなった遠因であるタギツヒメ。かつて美炎、清香をはじめとした調査隊と呼ばれる部隊が倒したスルガが該当する。
通常の荒魂に比べ、能力も力も、そして内臓するノロと呼ばれる物質もけた違い。刀使にとってはまさに大敵という相手である。
「ふーん……で、この大荒魂はちゃんと討伐されたの?」
「それは……コヒメちゃん、もう読んだ?」
「うん。この、スサノオって人がやっつけてるよ」
「そうなんだ。だったら、今はもう心配なさそう!」
ニコニコと美炎が言った、その時。
「きゃあああああああああっ!」
突如として響く、女性の悲鳴。
同時に、コヒ
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