染岡とアツヤの絆
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よく走り出す小暮だったが人にぶつかってしまう。
どんっ
「…つ、ててっ…。ん?」
小暮がぶつかったのは春菜だった。
そんな春菜を見た小暮は春菜の持つタオルを取ると
スタスタと歩き出していく。
「小暮くん何処行くの!?」
「何処でもいいだろっ」
「特訓は!?あの技完成したの!?」
「あんなの偶然だ」
そう言い捨てる小暮。
「あんなの偶然で出来るはずがない!…ねぇ、出来るまで付き合うよっ?一緒にやろうよ!」
その言葉に反応した小暮。
しかし彼から発せられた言葉は冷たいものだった。
「…いっしょに。一緒にって…」
小暮は今まで見たことないような表情叫ぶ。
「かあちゃんと同じこと言うなぁぁぁ!!!」
物凄い剣幕に春菜は立ち尽くす。
「…一緒にって言う奴なんか…信じられるかぁ!!」
つい勢いのように言ってしまった小暮。
小暮は春菜の顔を見ると、とても驚いているようだった。
「…ぁ…」
春菜は言葉が出てこない。
小暮は寂しそうな顔になると、うずくまりタオルを被る。
只事では無いと感じた春菜。
小暮に声を掛ける。
「…ねぇ、お母さんと何かあったの…?」
小暮は少し間を開けると口を開いた。
「……俺が凄く小さかった頃。一緒に旅行に行こうって連れてかれたんだ。…途中駅で弁当買ってくるから荷物の番してろって言われてさ。…でもあいつ戻って来なかった」
予想外の言葉に春菜はショックを受ける。
小さい子にはどれだけ辛かったことだろうか。
頭の中で想像するだけで伝わるだろう。
夕方になり、日が暮れ、月が昇る。
それでも小暮の元に母親は現れなかった。
「…俺、ずっと待ってたんだよ?それからさ、もう誰も信じるもんかって。信じても……ろくなことない」
そう言い放った小暮は俯く。
「………………こ」
春菜がこの気まずい雰囲気をどうにかしようと声を掛けようとした時。
「…なぁんてな!」
自分の人差し指で両方の頬を突きながら笑う。
「…んんっ!」
頭のタオルを取る小暮。
「お前がやれって言うからさ、もうちょっと頑張ってやるよ」
小暮はタオルを春菜に預けると修練場に向けてもう一度歩みを進める。
「……ん…っ?」
小暮が渡したタオルがモゾモゾと春菜の手で蠢く。
ぴょーん
「…ひゃあっ!」
飛び出して来たのは蛙だった。
「…うっししっ……!!」
「こっ……!…ふっ」
何か言いたげな春菜だったが少しほっとしたのか笑みが溢れる。
ゲコッゲコッ
「うおおおおおおっ!行けぇぇぇぇ!!ワイ
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