始まりから夏休みまで
先輩と後輩の話
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちゃんみたいな子だったよ。」
「…。」
過去の話をするが、今の近野さんからはとても想像できない内容が語られた。
目付きが悪くて態度も悪い。人懐っこい犬というか誰にも頼らない一匹狼みたいな感じだったのに。
昔は…そんな素直な子だったんだ。
「変わっちゃったのは…私が退学してからかな?私がいなくなってグレちゃって、部活やめたのも友作くんから聞いたよ。」
「ええ、先輩のいない部活なんてなんの意味もないって言ってましたからね。」
それが、彼女に起きた出来事。
そして…
「先輩を…返せって。」
僕は、近野さんに先輩を返せと言われた。
先輩の笑顔を、私だけの宝物を…と。
「少年?」
「悪いのは…やっぱり僕だったんだ。」
あの子は…ここを知ってたんだ。
いや、何かでこの喫茶店に先輩がいることを知って、会いに来たんだ。
自分が何よりも慕ってて、何よりも大好きな先輩。
いざ会いに行ってみれば…
先輩の隣には…"僕"がいた。
「あんなに恨んでたのも…僕が先輩を取ったみたいに思われてたから…!」
先輩は過剰なスキンシップはする。
いつどこで見たか分からないけど…そういった場所を見られてしまえば彼女は思うだろう。
自分のいるはずの場所に居座る、あの男は誰か、と。
自分の居場所を奪ったあの男は、何様だと。
「少年…どうしたのさ?」
「合点がいったんですよ。どうしてあそこまで、葛城が近野に殴られたのかって。」
「殴る…?こんちゃんはそんなことしな」
「しますよ。大切な場所を奪われたのなら、どんな手を使ってでも奪い返そうとしますから。」
「…!?」
入口から聞こえた声に、全員が振り向く。
間違いない。これはさっき聞いた声…!
「こんちゃん…?」
「お久しぶりです先輩。あと…何してるんだよ、お前。」
先輩に一礼すると、またいつもの冷たい視線に戻って僕を睨みつける。
「ぼ、僕はただ。」
「今すぐ出てけ。お前はここにいていい人じゃないんだよ。」
「でも…!」
「ああうるさいなぁ!!」
早足で僕の所へやってくる近野さん。
それを見て友作くんはいち早く動き出し、彼女の前に立ち塞がる。
「どけよ。」
「いいや、どかない。葛城は悪い事をしたと思ってる。そんな反省したやつを必要以上に蹴飛ばす理由なんかないだろ。」
「じゃあお前は!自分の宝物とったやつを謝っただけで許すのかよ!!」
「ああ、許さないさ。ただな…。」
友作くんがどくと、そこには椅子から立ち上がった田所先輩が悲しそうな眼差しでこちらを見ていた。
「こんちゃん…この子を…少年を蹴ったの?」
「お前の言う大切な宝物は、それを望んじゃいないぞ。」
どれくらいの月日が経っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ