始まりから夏休みまで
先輩と後輩の話
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井 暮馬って言います。2人の友人です。」
「そっか。ゆっくりしてってね。ところで少年はどうしたの?今日シフトは確かないし話があるって…。」
「田所さん。」
ここで元々バイトをしていた友作くん。
田所先輩に面識もあり仲も良かったと聞く。
しかしここで働いていた思い出話などは一切せず、彼はそのまま単刀直入に聞いた。
「近野のどかについて、葛城に教えてやって貰えませんか?」
?
「あのねぇ友作くん。できれば黙っといて欲しいなって私は言ったんだけどなぁ。」
そうして、立ち話もなんだからとテーブルについた僕達と田所先輩。
近野のどか。
その名前を聞いた時、先輩は明らかに動揺していた。
何故か、それは今これから知ることになる。
「なんでしょうかね…まぁ簡単に言いますと、もう黙っていられなくなりました。あなたの過去も、いつまでも隠してられるのも時間の問題です。」
「…。」
先輩の…過去?
一体田所先輩がなんなんだ?田所先輩のどこをどうすればあの近野さんと接点があるんだろうか。
そういえばそうだ、
僕は何度か、先輩に尋ねたことがある。
先輩の通ってる学校はどこですかと
先輩は18歳。中卒でない限り高校三年生ではあるが、先輩は高校を中退しているとだけ聞いた。
とはいっても、それ以上聞き出そうとしても適当にはぐらかされたり厨房へと逃げ込んでしまったりしたのだけれど。
「そっか。」
頬杖を着いていた先輩は、水を一口飲むとどこか諦めたような表情をし、溜息をつきながら言った。
「隠しててごめんね、少年。私は本当に君達の先輩なんだよ。」
いいや、先輩なのは知ってる。
でも待って…今、"君達"の先輩って…
「田所先輩…?」
「ご想像の通りだ。私が元々居た高校はね…
螺歩蔵第一高等学校。今君達が通ってる高校だよ。」
「え…?」
先輩が…本当に先輩…?
「でもどうして退学なんて…!」
「うーん…かっこよく言えば、追いかけたい夢があったから…かな?」
「夢…?」
「そ、夢。調理師になりたいって夢。学校辞めて、己の身一つで出てったのさそして今じゃこうして厨房を任されることになった。どうだい?よく聞くサクセスストーリーみたいでしょ?」
そう言って先輩はハハハと笑う。だが…。
「田所さん。」
「分かってる。分かってるよ。少年達が聞きたいのはこんちゃんについてのことでしょ?」
「こん…ちゃん?」
「あ、ごめんごめん。ニックネームだよ。私はいつもその愛称で呼んでたんだ。」
先輩はどこか懐かしむような感じで、そして淡々と語っていく。
「こんちゃんはね、お察しの通り私の後輩さ。素直でなんでも出来て、私を見つけるとすぐに寄ってくる。まるで人懐っこいワン
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