始まりから夏休みまで
先輩と後輩の話
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「鼻血止まったか?葛城。」
「うん…大丈夫。ティッシュありがとね。」
道中。
なんとか鼻血はおさまりこのまま僕達3人は僕のバイト先、隣町の喫茶店へと向かうことになった。
「お栄ちゃん。すごく怒るだろうなぁ…。」
「俺もそう思う。桐生にいじめられてた時も、相当キレてたりしたもんな…。」
こんな顔で帰ってはお栄ちゃんに何があったか根掘り葉掘り聞かれ、おそらく近野さんをぶん殴るとか言い出すだろう。
なので彼女のことはできるだけ伏せておこう…と考えながら電車に揺られること数分…。
「降りるぞ。」
僕達は喫茶店付近の駅に着いた。
「ねぇ、友作くん。」
「どうして今ここにお前を連れてきたか?って聞きたいんだろ。」
「あ、うん…。」
僕の疑問は最初から分かっていたみたいに、友作くんはそう答える。
そして歩きながら、彼は話を始めた。
「螺歩蔵高校の水泳部にはな、とんでもないエースがいたんだ。」
「うん。それはさっき言ってたよね。近野さんよりすごい人がいたって。」
「ものすごい泳ぎだったよ。この人、陸より海の方が向いてるんじゃないかってくらいにさ。地区大会もぶっちぎりで
全国大会予選もなんなく通過。オリンピックだって夢じゃないなんて言われたすげーのがいた。」
「…!」
隣にいた暮馬くんがなにかに気付く。
「友作…それって退学になったあの…。」
「ああそうだ。でも俺は未だにそれは信じられない。あの人があんな事するはずないって。あんな馬鹿みたいに優しい人が、そんなこと出来るわけないってな。」
「た、退学?」
暮馬くんも知っているという、水泳部のエース。
でもその人は…退学になった?なんで?どうして?
「さぁ、葛城。」
「!」
そうして考えていると、喫茶店の前にまで来ていたことに気づく。
友作くんがドアを開け、カランカランとベルの音が響く。
「真実を教えてやる。近野のこと、そして先輩のこともな。」
そうして僕達は喫茶店の中に入っていく。
ウェイトレスさんのいらっしゃいませー!という明るい声。
そうすると厨房の覗き窓から先輩が覗き、お客さんが僕達だと気付くと驚いたような表情をした。
「あの、」
「なんでしょうか?」
「田所さん、今お話ししてもよろしいでしょうか?」
「えーと…ちょっと待っててください。」
友作くんがウェイトレスさんにそう話すと、彼女は厨房へと駆けていく。
やがて少しすると、田所先輩がやって来た。
「友作に少年じゃん。てかどうしたのその顔!?」
「えへへ…実はちょっと転んじゃったんです。」
と、蹴られてまだあざの残る僕の顔を見て驚くけど、とりあえず適当に誤魔化すことにした。
「それと…きみは?」
「狩
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