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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第四十話 エルゴン星域会戦(後)
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直に認めよう。だが、敵の第三艦隊の指揮を引き継いだ奴は、果断な指揮官の様だな」
「はい。あの状況では突入してきたヒルデスハイム艦隊を挟撃するのが常道だとは思いますが…」
「あの二個分艦隊の錬度の低さを見てとったのだろう…迷惑かけ通しだな、あの味方は。俺達が艦隊を率いる事になったら、ああいう様だけは晒したくないものだな」
「そうですね…我々はいつまで此処にいるのでしょうか」
ラインハルト様の言ではないが、早くこのような星とおさらばしたいものだ。此処はあの方から遠すぎる…。



8月31日00:15 エルゴン星域、銀河帝国軍、ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ
ヒルデスハイム

 くそ、このままでは敵中に孤立してしまう。まさかあの二人が更に後退するとは…一門の恥の上塗りではないか…。
「少佐、潮時のようだな。後方を遮断される前に撤退する。全艦、斉射だ!エネルギーの許す限り続けよ!」
「了解致しました…全艦、斉射しつつ後退!」



8月31日00:15 銀河帝国軍、メルカッツ艦隊、旗艦ネルトリンゲン
ベルンハルト・シュナイダー

 何という事だ…!突破を許した挙げ句、ヒルデスハイム艦隊を見捨てて逃げ出すとは…!
「中尉、あれが味方とは、情けない限りだな」
「全くです」
ファーレンハイト中佐の顔が険しい。フレーゲル、シャイド両男爵の失敗が最後まで尾を引いている。それにひきかえヒルデスハイム伯爵はよくやっている。敵旗艦を沈め、両男爵を救い、今も敵中にて戦っている。
「見方を変えねばならんな。伯が戻られたら、俺は改めて伯に詫びをいれるよ」
「差し出がましい様ですが、それが宜しいかと」
「二人とも、状況が変わるぞ」
「はっ、失礼しました…そうですね、ヒルデスハイム艦隊が後退を始めました」
「ヒルデスハイム伯を救う。斉射三連、その後疑似突出。シュッツラー分艦隊は伯の援護に向かわせる」
「了解致しました…全艦砲門開け、斉射三連、艦隊強速度で前進!…シュッツラー准将に連絡、直ちにヒルデスハイム艦隊の援護に迎えと伝達せよ!」




8月31日00:25 自由惑星同盟軍、第五艦隊、旗艦リオ・グランデ
オットー・バルクマン

 敵の前進速度が上がった!攻勢に転じるのか!…しかし…。
「敵の一部が転進します!」
あ…思わず叫んじまった…。
「その様じゃな。参謀長、眼前の残った艦隊はどうやら殿(しんがり)に立つ様じゃ。手強いぞ。こちらも斉射だ」
「は、はっ…全艦斉射!こちらの方が敵の倍だ!撃ち負けるな!」
「バルクマン、敵の意図が分かるかね」
「は、はい…撤退の準備ではないかと推測します」
「何故そう思う?」
「戦闘を継続するのであれば、敵は全軍でヒルデスハイム艦隊に合流しようとする筈で
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