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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第四十話 エルゴン星域会戦(後)
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まま九時方向へ移動、第三艦隊の居る宙域に向かう」
「はっ!…全艦停止、U字陣形をとれ!再編後メルカッツ艦隊に正対したまま九時方向に移動!」
「バルクマン」
「はっ」
「第三艦隊の各分艦隊司令は誰じゃったかな」
急いで携帯端末(P D A)を開く…あったあった。
「ウランフ少将とコーネフ少将です。ウランフ少将が先任です」
「よし、参謀長、ウランフ少将に通信、残存艦艇をまとめ戦線を維持せよ、まもなくそちらへ行くと伝えてくれ」
「かしこまりました」
まさかシバルバーが大破とは…。戦闘にまさかは無いが、とんでもない事になったな。指揮不可能って、クレメンテ提督が戦死…?
「閣下」
「どうした」
「シバルバーより通信。…クレメンテ提督、戦死なされました」 
伝えるモンシャルマン参謀長の表情が硬い。
「一仕事どころでは無くなってしまったな。参謀長、泣くのは後じゃ」



8月30日22:50 銀河帝国軍、ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ

 「閣下、敵旗艦と思われる大型戦艦の爆沈を確認致しました」
「敵旗艦を沈めただと?本当か!?」
「はい、反乱軍艦隊の通信がそう申しております。敵の動きの鈍さからすると、罠などではないと思われます」
なんという僥倖!勝てる、勝てるぞ!
「よくやった。反乱軍艦隊の様子はどうか?」
「攻勢を強めておりますが、徐々に後退しております。艦隊の再編成をするのではないかと。こちらもフレーゲル、シャイド分艦隊が後退に成功しました」
「よし、攻撃の手を緩めるな。フレーゲル、シャイドの二人には、再編成が済み次第我等の両翼につけと伝えてくれ」
「かしこまりました」
緒戦こそ失敗したが、艦隊戦というものも中々面白いではないか。やはり私には才能があるのかもしれん。あの二人も落ち着きを取り戻してくれるとありがたいが…。




8月30日23:00 銀河帝国軍、メルカッツ艦隊、旗艦ネルトリンゲン
アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト

 敵艦隊の旗艦を沈めるとは…意外と言ってはあれだがヒルデスハイム伯も中々やるではないか。まあ、まぐれ当たりと云う事もあるかもしれんが…。軍人をやるのは簡単だが、軍人が皆軍事的才能がある訳ではない。特に指揮官としての資質はそうだ。優秀な参謀、優秀な艦長が艦隊を率いた途端に凡将、愚将という例は枚挙に暇がない。ヒルデスハイム伯はそうかもしれないし、そうではないかもしれない。どちらにせよ我々の領分に踏み込むのはこれ限りにしてほしいものだ…。
「中佐、あの第五艦隊の意図は何だと思うかね」
「あからさまにU字陣形をとったところを見ると…いつでもかかって来い、投網の準備はできているぞ…と言った所でしょうか。状況からすると、敵の第五艦隊は第三艦隊の援護に向かおう
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