疾走編
第四十話 エルゴン星域会戦(後)
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クレメンテ提督は、どのようなお方なのでしょう」
「儂も詳しくは知らんが、一見粗野に見えるが、機を見るに敏、という表現が似合うお方じゃろうな。多分、この戦いが終われば、退役なさる筈じゃ」
「何故です?まだ退役なさる年齢では無いと思いましたが。小官などが言うのも失礼な話ですが、非凡な能力をお持ちの様です。まだまだ同盟軍には必要な方だと思いますが…」
「ロボス大将を好かんそうじゃ」
「それだけ、ですか!?」
「偉くなるとな、色々あるのじゃ。それに、そろそろ後進に道を譲る時期だと言うておられたな」
「後任はどなたが」
「ルフェーブル中将ではなかったかな」
「後進に譲る、ですか…」
「腑に落ちんかね?」
「戦争はハイスクールのスポーツ競技や部活動ではありません。上級生が卒業して、下級生の為に席を空けるのとは訳が違います。戦える能力のある方が戦わないのでは、勝てる戦いも勝てなくなってしまいます」
「少佐は、帝国との戦いに勝てると思っとるのかね」
「小官はそのために同盟軍に入隊しました。失礼ですが、閣下は同盟が帝国に勝てないと仰るのですか」
「…儂は同盟を護る為に入隊した。負けるとは思ってはおらんよ」
「失礼しました」
「考えは人それぞれじゃ。さあ、一仕事するかのう」
8月30日22:15 銀河帝国軍、ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ
敵ながらなんと見事な…見とれている場合ではない。
「味方の危機を救うぞ。全艦、味方の右に迂回しつつ敵の左側面を衝く!急げ」
「閣下、我が艦隊が敵の左側面を衝く間にフレーゲル少将、シャイド少将の両分艦隊に後退していただきましょう」
「そうだな、そう二人に指示してくれぬか」
「了解いたしました」
ファーレンハイト中佐が下艦した後、私を補佐してくれているのはシューマッハ少佐という男だ。才気走った事は言わないが、適格で得難い助言をしてくれるので何かと助かっている。この戦いが終わった後も私の幕僚として残って欲しいものだ…。
8月30日22:30 自由惑星同盟軍、第三艦隊、旗艦シバルバー
クレメンテ
「敵の新手が十時方向より突入してきます!」
「近接戦闘に切り替える。母艦機能を持つ艦はスパルタニアンの準備を…」
「直撃来ます!……うう………閣下?…閣下!」
「だ、大丈夫だ…第五…艦隊に連絡を…指揮権を…委譲…」
「閣下!軍医を!」
「さ…参謀長…離艦用意だ…」
8月30日22:35 自由惑星同盟軍、第五艦隊、旗艦リオ・グランデ オットー・バルクマン
これは…!
「…閣下、第三艦隊旗艦シバルバー、被弾多数、大破の模様。『我、指揮不可能』との事です」
「参謀長、全艦停止…艦隊陣形をU字陣形に再編。陣形完成後、向きはその
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