第六百四十話 最低な奴だからその十
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「もっと言えば尺自体がな」
「全く違うか」
「迦楼羅、ガルーダもだ」
この仏ヒンズー教では半鳥半人の神である。
「翼が世界の端と端に届くまでに大きい」
「どんな大きさだ」
フランツも聞いて訳がわからなくなった。
「一体」
「そして恐ろしい速さで飛べんでだ」
タムタムはフランツにさらに話した。
「ヴィシュヌ神も乗せられる」
「となるとヴィシュヌも世界並に大きいか」
「そうなるな」
「色々スケールがおかしいな」
「神は巨大化して世界を二歩で踏破出来るしな」
「それもおかしいな」
「そうした国でだ」
そしてというのだ。
「その国から生まれた宗教だからな」
「数が違うか」
「餓鬼の寿命もな」
「長いか」
「一万五千年だ、そしてその間だ」
人間から見れば気の遠くなる様な時間をというのだ。
「常にだ」
「餓えと渇きと痛みにか」
「苦しんでいる」
「地獄の様だな」
「だから餓鬼道は地獄より辛いという意見もある」
今度は六道の話をした。
「地獄に落ちるよりもな」
「餓鬼になる方が辛いか」
「そうもだ」
「言われているんだな」
「仏教ではな」
「そこまで言う人がいるか」
「その餓鬼になるには」
即ち餓鬼道に堕ちるにはというのだ。
「徹底的に卑しく浅ましいな」
「そうした奴が堕ちるか」
「そうなる、自分のことしか考えず底意地が悪くてもな」
「卑しいな」
「そうした奴は本当にね」
「生きているうちに餓鬼になってか」
「死ぬとな」
その時はというのだ。
「まざにな」
「身体もか」
「餓鬼になって餓鬼道に堕ちてだ」
「苦しむか」
「そうなる」
「一万五千年か、それだけ苦しめ」
二年生は嫌悪と憎悪を剥き出しにした声で言った。
「あいつはな」
「そう思っている奴は多い」
タムタムは彼の呪詛を思わせる言葉を否定しなかった。
「俺もだ」
「そう思うか」
「話は聞いているしこの目でもだ」
「そうした場面をか」
「見てきたからな」
それ故にというのだ。
「死んだ時はな」
「餓鬼になるか」
「地獄に堕ちなくてもな」
それでもというのだ。
「行き先は碌なものじゃない」
「餓鬼道か」
「そうだ」
そちらだというのだ。
「そうなるしかない」
「そうした行いだからだな」
「性根が出ているからな」
それでというのだ。
「間違いなくだ」
「餓鬼になる」
「そしてあんたは」
「布施餓鬼はしない」
彼はタムタムに答えた。
「これからもな」
「あいつが死んだら余計にか」
「誰がそんなことをするか」
餓鬼を癒し救う布施餓鬼はというのだ。
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