第六百四十話 最低な奴だからその九
[8]前話 [2]次話
「あいつが餓鬼になるならな」
「あいつがなるからか」
「誰がするか」
「餓鬼になったら苦しめか」
「ずっとな」
こう言うのだった。
「そうなっていろ」
「同感だな」
タムタムは彼のその言葉に頷いた。
「ああした奴が餓鬼になってもな」
「そう思うな」
「俺もな」
こう彼に答えた。
「ああした奴だからな」
「そうだな」
「ああした奴が死んで餓鬼になるなら」
「布施餓鬼なんてな」
「したくなくなるな」
「餓鬼は卑しい奴や屑がなるんだ」
タムタムそしてフランツにこうも言った。
「だったらな」
「布施餓鬼なんかしないでか」
「ずっとだ」
それこそというのだ。
「苦しんでいろ」
「餓鬼の苦しみをそのまま受けていろか」
「人間の時に散々腐った卑しいことをしてきたんだ」
それならというのだ。
「餓鬼に生まれ変わったらな」
「その餓えと渇きと苦しみをか」
「餓鬼にいる間ずっと受けてだ」
そうなってというのだ。
「反省しろ」
「餓鬼の一生は一万五千年だったな」
タムタムはこのことをここで思い出した。
「確かな」
「だったらその間だ」
「一万五千年か」
「ずっとだ」
「苦しんでいればいいか」
「一万五千年は凄いな」
フランツはその歳月について思った。
「人類の文明前だ」
「そうだな」
「その間ずっとか」
「餓鬼は苦しむとのことだ」
「嫌な話だな」
「それだけ卑しいことをしてきたということだ」
それ故にというのだ。
「だからな」
「それでか」
「一万五千年の間な」
「苦しんでいるか」
「そう言われている」
仏教ではだ。
「長い間な」
「長過ぎるな」
フランツはこう答えた。
「幾ら何でも」
「一万五千年はか」
「あまりにもな」
「俺もそう思う」
タムタムも同意だった。
「無茶苦茶な歳月だ」
「そうだな」
「これは仏教特有だ」
「仏教はそうか」
「仏教はマウリアから出ているからな」
「お釈迦様があの国の生まれだったな」
「そうだったからな」
そしてヒンズー教では釈迦はヴィシュヌ神の生まれ変わりの一つとされている、だから仏教はヒンズー教の一派だというのだ。
「時間の流れが違う」
「連合の他の宗教とはか」
「マウリアと同じだ」
この国の、というのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ