第百十三話 甘寧、敵陣を見るのことその十
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「それならだ」
「ええ、一気にね」
出航してそうしてだというのだ。
「陣に帰りましょう」
「そうだな。長居は無用だ」
「敵のことはわかったわ」
ジェニーは確かな笑みでロックに述べた。
「その陣や武装のこともね」
「上出来と言うべきか?」
ロックは出航に向けて動きだす船の中で言った。
「この状況は」
「そう思っていいわね」
「そうか、上出来か」
「敵のことはわかったからね」
「敵の数までな」
「ええ、それに」
ここでだ。ジェニーは目を厳しくさせてだった。
その目でだ。ロックに話した。
「あいつがいることもね」
「フリーマンか」
「あいつ以外にも多分まだいるわ」
「だろうな。ネスツの奴等もいるみたいだしな」
「だから。そうしたこともわかったから」
「大きいな」
「ええ、かなりね」
こうロックに言うのだった。そうしてだ。
彼等の乗る舟は出航してだ。また長江に出た。そうしてだ。
長江に出て暫くしてだ。船にアルフレド達が来た。そのうえでロック達にこう言ってきた。
「じゃあ約束通りね」
「お菓子くれよ」
「ぶりぶり食べる」
「ああ、わかってるさ」
ロックが微笑んで彼等に応える。
「もう焼いてるぜ」
「焼いてるって?」
「ホットケーキどうだ?」
ロックは笑ってアルフレドにその菓子を提示した。
「シロップをたっぷりかけてな」
「あっ、ホットケーキ作ったんだ」
「こう見えても料理は得意なんだよ」
ロックの隠れた特技の一つである。
「だから焼いたんだけれどな」
「ロックの料理は絶品よ」
ジェニーも笑ってこのことを保証する。
「だからあんた達も食べなさいよ」
「ああ、じゃあな」
「何枚でも食べさせてもらうから」
「遠慮は無用だからな」
ロックは乱鳳と眠兎にも話した。
「どんどん食えよ」
「よし、それじゃあな」
「腹一杯食う」
こう言ってだった。彼等はロックの焼いたそのホットケーキを食べるのだった。そうしてそのうえでだ。仲間達のところに戻るのだった。
敵のことはわかった。そのことを把握してだ。
孔明はだ。意を決した顔で劉備に進言した。
「あの、武器で一番の問題はです」
「弓よね」
「はい、妖術やそうしたことは別にしてです」
「弓が問題になるわよね」
「それを減らすべきです」
孔明は劉備に話す。
「何とかして」
「けれど。何とかするって言っても」
どうかとだ。劉備は難しい顔になり孔明に返した。
「どうやって減らすの?敵の弓矢を」
「はい、私に考えがあります」
孔明は言った。
「まずはですね」
「ええ、まずは?」
孔明は話をはじめた。そうしてそのうえでだ。彼女は敵の弓矢を減らす策を仕掛けるのだった。
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